長友佑都が語る、日本代表“強さ”の理由とは?「サバンナのような厳しいリーグでのプレー」
10月10日に埼玉スタジアムで行われたモンゴル戦(FIFAワールドカップアジア2次予選)で、10年ぶりとなる代表での得点を決めた長友佑都。歴代単独3位という国際Aマッチ120試合出場という記録を自ら祝った長友は、試合後、自分自身の意識の変化、現在の代表チームの状況、そして好調の理由について語ってくれた。
(取材・文=岩本義弘[『REAL SPORTS』編集長]、写真=Getty Images)
「もっと怖い選手になりたい、もっと成長したい」
代表での久しぶりのゴールについて聞かれた長友佑都は、「ゴールの取り方も、喜び方も忘れちゃってました」とおどけたが、その直後にはすぐさま表情を変え、今回の試合に臨むに当たり、これまでとは意識を変えた点について言及した。
「今までは、アシストやクロスを上げるというところに(一番の)目的を置いていた部分があって。でも、それではサッカーではないなと。やっぱり、ゴールを(取ることを)目指して、その(ゴールという)目的地点への意識がつながっているからこそアシストもできる。そうすることで、いろいろな幅が広がるなと。今、サッカーを(改めて)学んでいる部分があって。自分の中で勉強しながらやっている部分はあって。今までクロス一辺倒の状態だったので、怖さがない、という部分があった。それをちょっと変えていきたいなと。新しい長友を見せていきたいなと。
もっと怖い選手になりたい、もっと成長したい。良いサイドバックは世界的に見てもゴールが取れる。アシストだけじゃなく、ゴールを取れる。ゴールを取れるから、相手が警戒して、その駆け引きの中で良いクロスが上げられたりする。そういう怖さのある選手になりたいですよね」
チーム全体の現状についても、今は非常に良い状態だと長友は語る。
「4年前よりも明らかにチーム力が上がってますよね。それが(結果が出ている理由の)すべてかなと思います。実力が上がっているし、チームが成熟している。その結果だと思っています。(ベテランと若手の融合についても)かなりうまくいってると思いますね。後ろには経験のある選手がたくさんいて、前には勢いのある、生き生きとしている、ギラギラしている選手たちがたくさんいて、うまくバランスが取れていると思います。中盤には経験のある中堅の選手がいて、とてもバランスが取れたチームだなと感じています」
「UEFAチャンピオンズリーグでのプレーは、自信を持てるようになる」
また、この夏、数多くの選手が、UEFAチャンピオンズリーグに出場するクラブを含めた、ヨーロッパのトップクラブに移籍したことも、現在の好調さを支えているという。
「(モンゴル戦での伊東純也は)良かったですね、すごくアピールしてたと思います。特にあのスピードは。やっぱり、チャンピオンズリーグを戦っている、その高いインテンシティーの中で戦っている選手というのは、やっぱり違いを生み出せますよね。
(チャンピオンズリーグは)やっぱり、違いますよ。相手もすごく本気だし、そのレベルの高い中でやる。その中で自分が自信を持てるようになるんです。チャンピオンズリーグでやると、自信を持てるようになることが、選手にとっては一番大きいのかなと。メンタル的な部分が一番大きい。能力がグッと上がるわけじゃないんですが、自信が自分の能力も含めてすべてを上げてくれる、ということだと思ってます。
やっぱり、激しいリーグ、インテンシティーの高い厳しいリーグでやらないと……。よく、動物に例えるんですけどね、サバンナにいる動物と、そのへんの近くの山にいる動物とでは、研ぎ澄まされ方が違いますよねと。常に狙われ続けるという厳しい状況の中で育つ動物と、普通に寝ていても襲われない中にいる動物では、もちろん全く違うわけです。だから僕らもやっぱり、人間ですけど動物なんで、同じかなと思っていますね。厳しい中でやらないと」
最後に長友は、再び自分に視点を戻した。
「僕も必死ですよ。日々、彼らよりもトレーニングをしたりとか、意識を高くやっていかないと。今でもやっぱりまだまだステップアップを目指していますから。トルコでも、チャンピオンズリーグでもアピールして、もっともっと成長したいという、その気持ちが僕を作っていると思います」
サッカー選手としてのさらなる成長を目指して、そして自身4度目のワールドカップ出場となる2022年カタール大会出場を目指して、長友の飽くなき挑戦は続いていく。
<了>
なぜ長友佑都はこれほど長く日本代表で活躍できるのか? 飽くなき向上心の源泉を紐解く
久保竜彦の“破天荒さと凄み”を生かせなかった日本の現実 戦友たちの証言で振り返る
久保建英が森保ジャパンのキーマンに? チームづくりの専門家が見る、日本代表の現在地
日本代表に最も選手を送り出したJクラブはどこだ? 1位はダントツで…
この記事をシェア
KEYWORD
#INTERVIEWRANKING
ランキング
LATEST
最新の記事
-
なぜWEリーグは年間カレンダーを大幅修正したのか? 平日開催ゼロ、中断期間短縮…“日程改革”の裏側
2025.01.23Business -
総工費3100億円アリーナの球場演出とは? 米スポーツに熱狂生み出す“ショー”支える巨額投資の現在地
2025.01.23Business -
WEリーグは新体制でどう変わった? 「超困難な課題に立ち向かう」Jリーグを知り尽くすキーマンが語る改革の現在地
2025.01.21Business -
北米4大スポーツのエンタメ最前線。MLBの日本人スタッフに聞く、五感を刺激するスタジアム演出
2025.01.21Business -
高校サッカー選手権で再確認した“プレミアリーグを戦う意義”。前橋育英、流経大柏、東福岡が見せた強さの源泉
2025.01.20Opinion -
激戦必至の卓球・全日本選手権。勢力図を覆す、次世代“ゲームチェンジャー”の存在
2025.01.20Opinion -
「SVリーグは、今度こそ変わる」ハイキューコラボが実現した新リーグ開幕前夜、クリエイティブ制作の裏側
2025.01.17Business -
なぜブンデスリーガはSDGs対策を義務づけるのか? グラスルーツにも浸透するサステナブルな未来への取り組み
2025.01.14Opinion -
フィジカルサッカーが猛威を振るう高校サッカー選手権。4強進出校に共通する今大会の“カラー”とは
2025.01.10Opinion -
藤野あおばが続ける“準備”と“分析”。「一番うまい人に聞くのが一番早い」マンチェスター・シティから夢への逆算
2025.01.09Career -
なでしこJの藤野あおばが直面した4カ月の試練。「何もかもが逆境だった」状況からの脱却
2025.01.07Career -
錦織圭と国枝慎吾が描くジュニア育成の未来図。日本テニス界のレジェンドが伝授した強さの真髄とは?
2024.12.29Training
RECOMMENDED
おすすめの記事
-
高校サッカー選手権で再確認した“プレミアリーグを戦う意義”。前橋育英、流経大柏、東福岡が見せた強さの源泉
2025.01.20Opinion -
激戦必至の卓球・全日本選手権。勢力図を覆す、次世代“ゲームチェンジャー”の存在
2025.01.20Opinion -
なぜブンデスリーガはSDGs対策を義務づけるのか? グラスルーツにも浸透するサステナブルな未来への取り組み
2025.01.14Opinion -
フィジカルサッカーが猛威を振るう高校サッカー選手権。4強進出校に共通する今大会の“カラー”とは
2025.01.10Opinion -
なぜバドミントン日本代表は強くなったのか? 成果上げた朴柱奉ヘッドコーチの20年と新時代
2024.12.29Opinion -
「すべて計画通りに進んだ」J1連覇の神戸・吉田孝行監督が示した日本サッカー界へのアンチテーゼ
2024.12.24Opinion -
昌平、神村学園、帝京長岡…波乱続出。高校サッカー有数の強豪校は、なぜ選手権に辿り着けなかったのか?
2024.12.13Opinion -
三笘薫も「質が素晴らしい」と語る“スター候補”が躍動。なぜブライトンには優秀な若手選手が集まるのか?
2024.12.05Opinion -
ラグビー欧州組が日本代表にもたらすものとは? 齋藤直人が示す「主導権を握る」ロールモデル
2024.12.04Opinion -
卓球・カットマンは絶滅危惧種なのか? 佐藤瞳・橋本帆乃香ペアが世界の頂点へ。中国勢を連破した旋風と可能性
2024.12.03Opinion -
なぜ“史上最強”積水化学は負けたのか。新谷仁美が話すクイーンズ駅伝の敗因と、支える側の意思
2024.11.29Opinion -
FC今治、J2昇格の背景にある「理想と現実の相克」。服部監督が語る、岡田メソッドの進化が生んだ安定と覚醒
2024.11.29Opinion