「差があると感じたのは北朝鮮だけ」ベレーザ・眞城美春が見据える女子ACLと日本代表
3月28日、日テレ・東京ヴェルディベレーザはAFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)のノックアウトステージ初戦を迎える。グループステージを2勝1分・無失点で突破し、もう一つの優勝候補と目される初戦のネゴヒャン女子蹴球団戦では4発で快勝。その一戦で勝利を引き寄せる2点目を決めたのが、眞城美春だ。アジアの舞台で感じたのは、自身の武器が通用する手応えだけではなかった。暑さと連戦、守りを固める相手を崩し切る難しさ、終盤まで走り切る力。東京スタジアム(味の素スタジアム)で迎える大一番を前に、グループステージでつかんだ手応えと課題を振り返りつつ、続くU-20アジアカップや代表で見据える未来について語ってもらった。
(インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真提供=森田直樹/アフロスポーツ)
AWCL初戦で払拭した苦手意識
――AFC女子チャンピオンズリーグ(AWCL)では、グループステージを2勝1分・無失点で突破しました。初戦のネゴヒャン戦(4-0)の勝利で一気に波に乗れた印象もあります。あの試合は、どんなところに手応えがありましたか?
眞城:初戦で流れが決まるのはわかっていたので、チーム全員の気持ちが揃っていました。個人的にも、年代別代表で北朝鮮に苦手意識がありましたが、練習していた形でゴールを決められたのは大きかったです。
――細かいタッチで相手を揺さぶって、グラウンダーで左隅に決めるテクニカルなゴールでした。
眞城:(樋渡)百花さんとの連係は普段から意識しています。あの場面も百花さんからいいボールが来て、練習していた通り、タッチしてから素早くシュートまで持ち込めました。相手の股下を狙って、狙い通りのコースに決められたのはうれしかったです。
――続くISPE戦(1-0)と水原FC戦(0-0)は、相手が守備を固めてきた中で得点が伸びず、苦しい試合展開になりました。大会を通して感じたアジアの強度は、WEリーグと比べてどうでしたか?
眞城:想像していたほど強度が高いわけではなくて、「全然通用する」と感じました。ただ、開催地のミャンマーの暑さと、中2日の連戦はかなりきつかったです。
――グループステージ3試合を通して、眞城選手自身が感じた「最も通用した武器」は何ですか?
眞城:初戦のゴールシーンもそうですが、ドリブルで突破するという自分の武器が通用した感覚は残っています。
――現地の環境面はいかがでしたか?暑さも含めて、滞在の印象を教えてください。
眞城:とにかく暑かったのが印象的です。でもホテルはきれいで快適でしたし、スタッフの方も多く、シェフの西芳照さんも帯同してくださったので食事もすごくおいしくて。環境としては恵まれていたと思います。
ポジション変化で広がる選択肢
――グループステージでは、試合の中で複数ポジションをこなす場面もありました。今季はサイドハーフ、インサイドハーフ、ウイングバックなども経験していますが、成長にどうつながっていますか?
眞城:ポジションが変わることを楽しんでいます。ボランチ以外だと右サイドで出ることが多いですが、個人的には左サイドのほうが視野を広く持ちやすくて、ドリブルも仕掛けやすい印象がありました。ただプレーの幅を広げるためにも、右サイドで出た時の右サイドバックとの関係や、ドリブルで仕掛ける精度はもっと上げたいと思っています。
――ボランチとサイドでは視野も選択肢も大きく変わると思いますが、今はどちらのプレーが好きですか?
眞城:以前は「左サイド」と答えていたんですけど、今は中央のほうが楽しくプレーできています。選択肢が多くて自由にプレーできますし、開いて縦に仕掛けることもあるので、真ん中でたくさんボールを触るのが楽しいです。
頂点への新たな一歩。東京スタジアムで示すもの
――3月28日のAWCLノックアウトステージ初戦、スタリオン・ラグナ戦を、どんな位置づけの試合と捉えていますか?
眞城:ミャンマーみたいに暑くないですし、会場の東京スタジアムは芝もよく、最高の環境でサッカーできるのがうれしいです。お客さんもたくさん入ってくれると期待していますし、注目されている中で、自分の良さとベレーザの良さを出して、その先のステージに進みたいです。
――この試合で、個人として一番意識しているテーマや残したい結果は?
眞城:やっぱりゴールは狙っていますし、取りたいですね。あとは自分のプレーで、観客の皆さんが沸くような場面をたくさん作れたらうれしいです。
――WEリーグでもマルセイユルーレット、ダブルタッチ、足裏でのコントロールなど、多彩なテクニックで沸かせています。眞城選手が考える「沸かせるプレー」とは?
眞城:ずっとやりたいと思っているのは、エラシコです。ドリブルの中でそういうプレーも見せながら沸かせられたらと思ってチャレンジはしているんですけど、まだ成功したことがなくて……。
――それは楽しみです。今大会はWEリーグを代表して臨む舞台でもあります。改めてタイトルへの思いと、「眞城美春のここを見てほしい!」というポイントを教えてください。
眞城:WEリーグを代表して出ているので、日本がアジアで一番だということを証明したいと思います。結果にこだわりながらも、遊び心あるプレーを常にしたいと思っているので、そういう部分は楽しんで見てもらいたいなと思います。
U-20世代を経て描く代表への道
――4月1日からタイで行われるAFC U-20女子アジアカップに臨みます。FIFA U-17女子ワールドカップは2022年、2024年と2度出場しました。世代別代表の経験を通して感じた「世界との差」は、今にどう生きていますか?
眞城:海外の国と戦って一番「差がある」と感じたのは北朝鮮で、それ以外の国とは、そこまで大きな差を感じたことはないです。北朝鮮には日本のパスワークや技術は勝っていると感じましたが、走り負けた部分があったので、大会終盤で連戦の中でも、90分間走り切る力はもっとつけなければいけないと思いました。
――世代別代表ではキャプテンも務めました。リーダーとして意識してきたことは?
眞城:練習中に声を出してチームを盛り上げるような働きかけは、普段から自然にやっています。試合前や試合中は、戦術面で共通認識を高めながら、流れが悪い時などに修正できるように意識しています。
――前回のU-17女子アジアカップ決勝で敗れた北朝鮮を超えるために、今の日本の強みはどこにありますか?ご自身はどんな形で結果にこだわりたいですか?
眞城:WEリーグで活躍している選手が多くいますし、個性あふれるチームで、個々の力は強みだと思うので、そこを生かしていきたいと思いますし、自分もできるだけ前でゴールに関わって、結果にこだわりたいです。前回敗れた北朝鮮には絶対に勝ちたいですし、今回こそ勝てると思っています。
――U-20代表の先に、なでしこジャパンも見えてくると思います。昨年4月のコロンビア戦で初招集された経験は、現在のモチベーションにどう影響していますか?
眞城:目標とする場所ですし、そのためにもまずはU-20の大会で活躍するのは絶対に必要なことだと思います。4月のアジアカップと9月のU-20ワールドカップが終わったら、来年の夏に女子ワールドカップがあるので、そこでトレーニングパートナーに入るのが今の目標です。2023年女子ワールドカップの時に(谷川)萌々子さんがそうだったように、そこから次のステップに進めたらと思っています。
――5年後、10年後、どんな選手になっていたいとイメージしていますか?
眞城:自分の強みはテクニックと、攻撃にアクセントをつけられることだと思っています。そこは失わないようにしつつ、守備の力を高めて、どのチームでプレーしても「顔」になれるような、圧倒的な実力を持った選手になりたいです。
【連載前編】憧れの「ベレーザの14番」を背負う覚悟。眞城美春が語る“プロ2年目”の現在地
<了>
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[PROFILE]
眞城美春(しんじょう・みはる)
2007年2月5日生まれ、東京都出身。日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属。広い視野とテクニックを備え、創造性のあるプレーで局面を動かす。下部組織のメニーナで育ち、2022年FIFA U-17女子ワールドカップでは15歳で飛び級招集され、谷川萌々子とダブルボランチを組んでベスト8入り。2024年FIFA U-17女子ワールドカップにも出場し、2大会連続でベスト8進出を経験した。2024年AFC U-17女子アジアカップではキャプテンとして全5試合に出場し、チーム最多の4得点を記録。準優勝に導き、大会最優秀選手に選出された。2025年2月にベレーザへの昇格が発表され、2024-25シーズンはWEリーグ初優勝に貢献。個人でも優秀選手賞、ベストヤングプレーヤー賞を受賞した。その技術の高さから、メディアでは「ポスト長谷川」とも評される。
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