【全829選手を大調査】W杯で最も市場価値が高いチームは? 日本は25位。1位は意外にも…

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2022.11.20

いよいよFIFAワールドカップ・カタール大会の開幕が迫ってきた。各ブックメーカーのオッズやスポーツデータ分析会社によれば、ブラジル、アルゼンチンの南米勢に、前回王者のフランスが優勝候補に挙げられている。では、市場価値という観点でトップになったのはどのチームだろうか? ワールドカップに出場する全選手の市場価値を調査し、その総額で出場32チームのランキングを作成した。果たしてトップに輝いたのは?

(文=池田敏明、写真=Getty Images)

出場全32カ国829選手の市場価値を調査! 1位は果たして…

今回のFIFAワールドカップ(W杯)は開催地カタールの気候を考慮し、歴代大会とは違って11月から12月にかけて行われる。決勝が行われるのは12月18日(現地時間)。そこからおよそ2週間後には年が変わって2023年になる。待ち受けているのは冬の移籍マーケットだ。W杯で活躍すれば評価が高まり、1月にステップアップの移籍を果たす可能性もあるだけに、若い選手やビッグクラブへの移籍を目指す選手にとってはカタールでの活躍が非常に大きな意味を持つことになる。

サッカー界で選手が移籍する際には、その選手を獲得するクラブから現所属クラブに移籍金が支払われるのが一般的だ。移籍金は各クラブが選手と契約する際に設定する違約金がベースになり、クラブ間の交渉の中で詰めていくものだが、その際の指標になり得る数値として「市場価値」というものがある。データサイト『transfermarkt』が算出しているもので、サッカー選手としての能力や実績だけでなく、年齢や将来性、商業的価値などを判断材料にして金額がはじき出される。この市場価値が高い選手こそ、現在、旬を迎えている選手といえるだろう。

今大会の優勝候補としては“王国”ブラジルや前回王者フランスのほか、ドイツやアルゼンチン、イングランド、スペインなどの名前が挙がる。ワールドクラスの選手がそろい、チームの実力を測るFIFAランキングでも上位に名を連ねる国ばかりだが、では「市場価値」を指標にした場合はどの国が上位になるのだろうか。各国の最終メンバーの市場価値を調査してみた。金額は11月18日時点のものを、メンバーは11月20日9時時点の情報を採用している。情報は日々アップデートされるため、記事公開時とは異なる数値になる可能性がある点はご了承いただきたい。

市場価値総額1位は、26人中25人が国内リーグでプレーするチーム

市場価値の総額が最も高かった国は、ブラジルやフランスではなく、意外なことにイングランドの12億6000万ユーロ(約1827億円、以下すべて1ユーロ=145円で計算)だった。ブラジルは2位で11億4300万ユーロ(約1657億3500万円)、フランスは3位で9億9750万ユーロ(約1446億3750万円)。4位以下にはポルトガル、ドイツ、スペイン、アルゼンチンが続いた。

市場価値が選手の年齢や実績、将来性、商業的価値を判断材料にしているということは、若くして欧州トップリーグのビッグクラブでレギュラーとして活躍し、クラブや代表での実績も申し分なく、また世界的な知名度もあって広告的価値も高い選手ほど金額が高くなるということになる。

イングランドの場合、26人中25人が世界最高峰のプレミアリーグ(イングランド)でプレーしており、その大半がビッグクラブの所属。個人の最高額はフィル・フォーデン(22歳/マンチェスター・シティ所属)の1億1000万ユーロ(約159億5000万円)で、これは全選手の中でも3番目に高い数字である。また、メンバーの中で唯一、ドイツ・ブンデスリーガでプレーするジュード・ベリンガム(19歳/ドルトムント所属)は1億ユーロ(約145億円)、他にも9000万ユーロ(約130億5000万円)のハリー・ケイン(29歳/トッテナム所属)やブカヨ・サカ(21歳/アーセナル所属)など、市場価値の高い選手が多く名を連ねている。大半が若くしてビッグクラブの主力を務める選手であり、ケインは選手としての申し分ない実績が金額に反映されている。最も低いのはキーラン・トリッピアー(32歳/ニューカッスル所属)だが、それでも1300万ユーロ(約18億8500万円)だ。

ブラジルがイングランドの後塵を拝する理由は?

ブラジルはヴィニシウス・ジュニオール(22歳/レアル・マドリード所属)が全体2位の1億2000万ユーロ(174億円)だったが、ブラジル国内でプレーするウェベルトン(34歳/パルメイラス所属)やエベルトン・リベイロ(33歳/フラメンゴ所属)、大ベテランの域にあるチアゴ・シウバ(38歳/チェルシー所属)やダニエウ・アウヴェス(39歳/プーマス所属)らの市場価値が数百万ユーロ程度と低くなっており、それがイングランドとの差になった。ちなみに、世界で最も知名度の高いフットボーラーの一人であるネイマール(30歳/パリ・サンジェルマン所属)の市場価値は7500万ユーロ(約108億7500万円)。2018年から2019年にかけては1億8000万ユーロという数値をたたき出していたが、30歳という年齢や物議を醸すさまざまな言動の影響もあってか、現在はかなり落ち着いた数値となっている印象だ。

フランスは大エースのキリアン・エンバペ(23歳/パリ・サンジェルマン所属)が全体1位の1億6000万ユーロ(約232億円)を計上。オーレリアン・チュメアニ(22歳/レアル・マドリード所属)も8000万ユーロ(約116億円)と高く、今大会での活躍次第では1億ユーロ突破も夢ではないだろう。

また、アルゼンチン代表リオネル・メッシ(35歳/パリ・サンジェルマン所属)は5000万ユーロ(72億5000万円)、ポルトガル代表クリスティアーノ・ロナウド(37歳/マンチェスター・ユナイテッド所属)にいたっては2000万ユーロ(約29億円)となっている。これまでサッカー界をけん引してきた両者も年齢を考えると妥当な数値といえるし、C・ロナウドは最近になってクラブや指揮官、オーナーへの批判を繰り広げているためイメージダウンは免れず、今後その価値がさらに下落することが予想される。

日本代表26人vsエンバペ1人、どちらが高額?

日本代表の市場価値総額は1億5400万ユーロ(約223億3000万円)で、全体では25位。アジアでは韓国の1億6448万ユーロ(約238億4888万円)に次いで2番目ではあるが、エンバペ一人の市場価値よりも低い数値となった。

個人ではクラブで目覚ましい活躍を見せている鎌田大地(26歳/フランクフルト所属)の3000万ユーロ(約43億5000万円)が最高値で、冨安健洋(24歳/アーセナル所属)の2500万ユーロ(36億2500万円)がこれに続く。すでに欧州で活躍している久保建英(21歳/レアル・ソシエダ所属)は1200万ユーロ(約17億4000万円)、三笘薫(25歳/ブライトン所属)は600万ユーロ(約8億7000万円)だが、大会での活躍次第では大きく跳ね上がるだろう。

韓国はエースのソン・フンミン(30歳/トッテナム所属)が7000万ユーロ(約101億5000万円)、キム・ミンジェ(26歳/ナポリ所属)が3500万ユーロ(約50億7500万円)と、この二人だけで1億ユーロを突破。後者は今夏、移籍したナポリで評価を高めており、今後のさらなる金額上昇も見込まれる。

市場価値の金額差と実際の実力差はイコールではない

日本のグループステージでの対戦相手はドイツが5位、スペインが6位である一方、コスタリカは1875万ユーロ(約27億1875万円)で31位。日本でも知名度のあるケイロル・ナバス(35歳/パリ・サンジェルマン所属)やブライアン・ルイス(37歳/アラフエレンセ所属)、ジョエル・キャンベル(30歳/レオン所属)といった選手がいるものの、いずれもキャリアの下り坂に入っていることもあってナバスが500万ユーロ(約7億2500万円)、キャンベルが250万ユーロ(約3億6250万円)と市場価値は低め。今大会を最後に引退することを公言しているB・ルイスにいたっては15万ユーロ(約2175万円)になっている。また、今大会のコスタリカはアルバロ・サモラ(20歳/デポルティーボ・サプリサ所属)やアントニー・エルナンデス(21歳/プンタレナス所属)ら国内リーグでプレーする若手が何人かメンバー入りしており、彼らはメンバー発表当初、市場価値が記載されていなかった。後にデータが更新されたものの、それでも数十万ユーロ程度だ。

そして、32カ国中、市場価値が最も低かったのは開催国カタールの1625万ユーロ(約23億5625万円)。1位イングランドと比較すると77分の1以下という金額だ。カタールはメンバー全員が国内リーグの所属で、選手個々の知名度も高くはない。商業的価値も世界的に見ればゼロに近く、そのため大半の選手が数十万ユーロとなっている。ちなみに、同様に全選手が国内リーグでプレーするサウジアラビアも総額2520万ユーロ(約36億5400万円)で30番目と、かなり低い市場価値となっている。

国によって大きな差のある選手の市場価値だが、もちろんこの金額や順位が大会の結果に直結するわけではない。25位の日本や31位のコスタリカが5位ドイツ、6位スペインを撃破する可能性も大いにあるし、そうなったら痛快なことこの上ない。

<了>

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