![](https://real-sports.jp/wp/wp-content/uploads/2023/08/a452ca40d9e811e984a2c76aacc4625b.webp)
[世界のチーム売上ランキング]“白い巨人”レアル・マドリードを抑えて1位になったのは?
スポーツの世界において、“お金”がチームの強さに直結するといっても過言ではないだろう。チームにかけられるお金が多ければそれだけスター選手を集めることが可能になり、またその強さと華やかさがお金を生み出すことになる。
昨今は日本のスポーツ界でも“稼ぐ”ことの重要性が認識され始め、売り上げを伸ばすチームが増えてきているが、果たして世界のプロスポーツチームは、いったい日本の何倍もの収益をあげているのだろうか?
(文=池田敏明、写真=Getty Images)
プロ野球では巨人とソフトバンク、Jリーグでは神戸がトップクラス
プロスポーツチームは、選手たちが見せる常人離れしたパフォーマンスを売り物とし、それを見るためにスタジアムやアリーナに足を運ぶ観客からのチケット収入や、関連グッズの売上、スポンサーとして契約を結んだ企業からの広告料、テレビ中継をするための放映権料などを収入源として経営を成り立たせている。超一流の選手を集めてハイクラスのパフォーマンスを見せようと思えば、それだけ選手の年俸、つまり人件費は高騰するが、それに比例してスポンサー料や放映権料も高額で交渉、契約しやすくなり、またワールドワイドな活動の可能性も広がるため、ビジネスの規模は大きくなるだろう。
日本のプロスポーツ界では、日本プロ野球(NPB)の読売ジャイアンツの営業収益が250億円、福岡ソフトバンクホークスが300億円程度と推察されており(共に金額は非公開)、またJリーグではヴィッセル神戸が2018年度にリーグ史上最高額となる96億6600万円の営業収益をあげている。しかし国外に目を転じると、北米4大プロスポーツやヨーロッパのサッカー界でトップレベルに君臨するプロスポーツチームは、文字通り“ケタ違い”の営業収益をあげている。アメリカの経済紙『Forbes』が公表している北米4大プロスポーツリーグの各チームの資産価値や営業収益のリスト、および国際的な会計事務所、デロイトの調査レポート『フットボール・マネーリーグ』をもとに、主要チームの営業収益を比較してみよう。
NFL、MLB、欧州サッカー勢が上位を占める
『Forbes』が公表している「プロスポーツチーム資産価値ランキング」では、ナショナルフットボールリーグ(NFL)のダラス・カウボーイズが並みいる有力チームを抑えてトップに立っているが、営業収益でも8億6400万ドル(約959億400万円)という売上を記録し、トップとなっている。
これに匹敵するのは欧州サッカーの“白い巨人”、ラ・リーガのレアル・マドリードで、7億5090万ユーロ(約948億8280万円)となっている。レアル・マドリードが世界中でビジネスを展開し、収益をあげているのに対し、ダラス・カウボーイズは主にアメリカ国内でこれだけの金額を稼いでいる。
その後は欧州サッカー勢が続く。バルセロナ(6億9040万ユーロ/約872億2380万円)、マンチェスター・ユナイテッド(6億6600万ユーロ/約841億3800万円)、バイエルン・ミュンヘン(6億2920万ユーロ/約795億2040万円)と、スペイン、イングランド、ドイツの“盟主”ともいえる、知名度と人気の高いサッカークラブが、その名に恥じない営業収益をあげている。
メジャーリーグベースボール(MLB)屈指の人気球団であるニューヨーク・ヤンキースも、6億6800万ドル(約741億4800万円)と、読売ジャイアンツの推定営業収益の3倍前後の売上を記録している。
「N」と「Y」を組み合わせたシンプルなロゴが入ったキャップやTシャツなどのグッズは日本でもおなじみであり、田中将大が所属していることを考えると、日本企業とのスポンサー契約も貴重な収入源となっているはずだ。
ここまででNFL、欧州サッカー、MLBのチームが登場しているが、高額の営業収益をあげているのはほとんどがこの3競技のチームだ。NFLではダラス・カウボーイズが断トツの収益をあげており、そこから300億円以上離されてニューイングランド・ペイトリオッツ(5億9300万ドル/約658億2300万円)やニューヨーク・ジャイアンツ(4億9300万ドル/約547億2300万円)、ワシントン・レッドスキンズ(4億9100万ドル/約545億100万円)などが続く。
欧州サッカーではマンチェスター・シティ(5億6840万ユーロ/約718億2810万円)やパリ・サンジェルマン(5億4170万ユーロ/約684億5370万円)、リヴァプール(5億1370万ユーロ/約649億1280万円)、チェルシー(5億0570万ユーロ/約639億270万円)など、世界的に人気の高いプレミアリーグ勢が多いという傾向がある。
MLBでは前田健太が所属するロサンゼルス・ドジャース(5億4900万ドル/約609億3900万円)、そしてボストン・レッドソックス(5億1600万ドル/約572億7600万円)など、スター選手が常に在籍し、人気も高い球団が収益をあげている。
北米4大プロスポーツではNFLとMLBに比べて、ナショナル・バスケットボール・アソシエーション(NBA)とナショナルホッケーリーグ(NHL)のチームの収益は低い。NBAではニューヨーク・ニックス(4億4300万ドル/約491億7300万円)が唯一、4億ドルを超えており、NHLではニューヨーク・レンジャーズの2億5300万ドル/約280億8300万円)が最高となっている。
多くの収益をあげているのは、チームとしてのブランド力が高く、世界中にファンがいるチームばかり。NPBやJリーグのチームも今後、ブランド力を高めていけば、こういったチームと肩を並べる収益を記録する可能性もある。
特にアンドレス・イニエスタやダビド・ビジャ、ルーカス・ポドルスキと世界的名手がそろっているヴィッセル神戸は、ブランド力に関していえば欧州のサッカーチームに匹敵するものを備えるようになった。2018年度には100億円目前となる営業収益をあげたが、これが今後、どのように増えていくのか、要注目だ。
<了>
[主な世界のプロスポーツチームの売上額]
1. ダラス・カウボーイズ(NFL/アメリカ)
959億400万円
2. レアル・マドリード(ラ・リーガ/スペイン)
948億8280万円
3. バルセロナ(ラ・リーガ/スペイン)
872億2380万円
4. マンチェスター・ユナイテッド(プレミアリーグ/イングランド)
841億3800万円
5. バイエルン・ミュンヘン(ブンデスリーガ/ドイツ)
795億2040万円
6. ニューヨーク・ヤンキース(MLB/アメリカ)
741億4800万円
7. マンチェスター・シティ(プレミアリーグ/イングランド)
718億2810万円
8. パリ・サンジェルマン(リーグ・アン/フランス)
684億5370万円
9. ニューイングランド・ペイトリオッツ(NFL/アメリカ)
658億2300万円
10. リヴァプール(プレミアリーグ/イングランド)
649億1280万円
11. チェルシー(プレミアリーグ/イングランド)
639億0270万円
12. ロサンゼルス・ドジャース(MLB/アメリカ)
609億3900万円
13. ボストン・レッドソックス(MLB/アメリカ)
572億7600万円
14. アーセナル(プレミアリーグ/イングランド)
555億1110万円
15. ニューヨーク・ジャイアンツ(NFL/アメリカ)
547億2300万円
16. ワシントン・レッドスキンズ(NFL/アメリカ)
545億0100万円
17. トッテナム・ホットスパー(プレミアリーグ/イングランド)
541億3470万円
18. サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ(NFL/アメリカ)
521億7000万円
19. ヒューストン・テキサンズ(NFL/アメリカ)
515億400万円
20. サンフランシスコ・ジャイアンツ(MLB/アメリカ)
512億8200万円
21. フィラデルフィア・イーグルス(NFL/アメリカ)
508億3800万円
22. シカゴ・カブス(MLB/アメリカ)
501億7200万円
23. アトランタ・ファルコンズ(NFL/アメリカ)
500億6100万円
24. ユヴェントス(セリエA/イタリア)
499億560万円
25. ニューヨーク・ジェッツ(NFL/アメリカ)
491億7300万円
26. ニューヨーク・ニックス(NBA/アメリカ)
491億7300万円
27. グリーンベイ・パッカーズ(NFL/アメリカ)
481億7400万円
28. シカゴ・ベアーズ(NFL/アメリカ)
478億4100万円
29. デンバー・ブロンコス(NFL/アメリカ)
473億9700万円
30. ボルチモア・レイブンズ(NFL/アメリカ)
462億8700万円
[世界のリーグ売上ランキング]1兆円超え達成の2リーグはどこ? 日本と桁違いの売上額
[世界のリーグ観客数ランキング]プロ野球がMLB超え!意外な競技が上位に…
[世界のチーム観客数ランキング]日本は6チームがランクイン! 1位は独ドルトムントを上回って…
[アスリート収入ランキング100]トップは驚愕の319億円! 日本人は2人がランクイン!
この記事をシェア
KEYWORD
#COLUMNRANKING
ランキング
LATEST
最新の記事
-
指導者の言いなりサッカーに未来はあるのか?「ミスしたから交代」なんて言語道断。育成年代において重要な子供との向き合い方
2024.07.26Training -
松本光平が移籍先にソロモン諸島を選んだ理由「獲物は魚にタコ。野生の鶏とか豚を捕まえて食べていました」
2024.07.22Career -
サッカーを楽しむための公立中という選択肢。部活動はJ下部、街クラブに入れなかった子が行く場所なのか?
2024.07.16Education -
新関脇として大関昇進を目指す、大の里の素顔。初土俵から7場所「最速優勝」果たした愚直な青年の軌跡
2024.07.12Career -
リヴァプール元主将が語る30年ぶりのリーグ制覇。「僕がトロフィーを空高く掲げ、チームが勝利の雄叫びを上げた」
2024.07.12Career -
ドイツ国内における伊藤洋輝の評価とは? 盟主バイエルンでの活躍を疑問視する声が少ない理由
2024.07.11Career -
クロップ率いるリヴァプールがCL決勝で見せた輝き。ジョーダン・ヘンダーソンが語る「あと一歩の男」との訣別
2024.07.10Career -
なぜ森保ジャパンの「攻撃的3バック」は「モダン」なのか? W杯アジア最終予選で問われる6年目の進化と結果
2024.07.10Opinion -
「サッカー続けたいけどチーム選びで悩んでいる子はいませんか?」中体連に参加するクラブチーム・ソルシエロFCの価値ある挑戦
2024.07.09Opinion -
高校年代のラグビー競技人口が20年で半減。「主チーム」と「副チーム」で活動できる新たな制度は起爆剤となれるのか?
2024.07.08Opinion -
ジョーダン・ヘンダーソンが振り返る、リヴァプールがマドリードに敗れた経験の差。「勝つときも負けるときも全員一緒だ」
2024.07.08Opinion -
岩渕真奈と町田瑠唯。女子サッカーと女子バスケのメダリストが語る、競技発展とパリ五輪への思い
2024.07.05Opinion
RECOMMENDED
おすすめの記事
-
なぜ南米選手権、クラブW杯、北中米W杯がアメリカ開催となったのか? 現地専門家が語る米国の底力
2024.07.03Business -
ハワイがサッカー界の「ラストマーケット」? プロスポーツがない超人気観光地が秘める無限の可能性
2024.07.01Business -
「学校教育にとどまらない、無限の可能性を」スポーツ庁・室伏長官がオープンイノベーションを推進する理由
2024.03.25Business -
なぜDAZNは当時、次なる市場に日本を選んだのか? 当事者が語るJリーグの「DAZN元年」
2024.03.15Business -
Jリーグ開幕から20年を経て泥沼に陥った混迷時代。ビジネスマン村井満が必要とされた理由
2024.03.01Business -
歴代Jチェアマンを振り返ると浮かび上がる村井満の異端。「伏線めいた」川淵三郎との出会い
2024.03.01Business -
アトレチコ鈴鹿クラブ誕生物語。元Jリーガー社長が主導し「地元に愛される育成型クラブ」へ
2024.01.12Business -
決勝はABEMAで生中継。本田圭佑が立ち上げた“何度でも挑戦できる”U-10サッカー大会「4v4」とは
2023.12.13Business -
アメリカで“女子スポーツ史上最大のメディア投資”が実現。米在住の元WEリーグチェアに聞く成功の裏側
2023.12.12Business -
1300人の社員を抱える企業が注目するパデルの可能性。日本代表・冨中隆史が実践するデュアルキャリアのススメ
2023.12.01Business -
東大出身・パデル日本代表の冨中隆史が語る文武両道とデュアルキャリア。「やり切った自信が生きてくる」
2023.11.30Business -
なぜ東京の会社がBリーグ・仙台89ERSのオーナーに? 「しゃしゃり出るつもりはない」M&A投資の理由とは
2023.11.28Business