
日本一は巨人で決まりと断言できる、これだけの理由。データで見る日本シリーズ
21日、いよいよ日本一を懸けた決戦の火ぶたが落とされる。福岡ソフトバンクホークスと読売ジャイアンツ、2年連続で同じ組み合わせとなった2020年の日本シリーズはどんな結果に終わるだろうか? さまざまなデータから、その行方を占ってみたい。
(文=REAL SPORTS編集部、写真=Getty Images)
通算成績は巨人優勢も、近年はソフトバンクが圧倒
福岡ソフトバンクホークスと読売ジャイアンツ、2020年の日本シリーズは2年連続で同じ顔合わせとなった。
これまでの日本シリーズの戦績を比較してみると、巨人は過去35度の出場で22回の日本一(勝率62.9%)、対するソフトバンクは19度の出場で10回の日本一(勝率52.6%)。実績だけ見れば、数でも率でも巨人が圧倒している。
では直接対決の戦績はどうか?
両者は過去に日本シリーズで11度対戦しており、通算で9勝2敗と、これも巨人が圧倒している。だが、うち9回は1950~70年代、南海時代の対戦成績で、昨季はソフトバンクが4連勝で圧倒して日本一に輝いたことが記憶に新しい。
実際、近年の直接対決の戦績はソフトバンクが圧倒している。日本シリーズこそこの20年で2度しか対戦していないが(1勝1敗/内訳は6勝4敗でソフトバンク(ダイエー時代含む))、2005年から始まった交流戦では36勝23敗と、その差は歴然だ。
ソフトバンクはこの10年で日本一に6度輝いており(巨人は1度)、多くの評論家もソフトバンク優勢の予想をするなど、8年ぶりの日本一奪還を目指す巨人にとっては高い壁だといえるだろう。
第1・2戦ホームのチームは、2連勝しないと優勝確率が激減
日本シリーズは基本的に、第1・2戦を一方のホームで戦った後、第3・4・5戦をもう一方のホームで戦い、第6・7戦でまた第1・2戦と同じホームで戦う。今年は、第1・2・6・7戦が巨人、第3・4・5戦がソフトバンクのホームだ。
過去70年の日本シリーズの結果を見ても、やはり最初の2試合の結果が重要だと分かる。第1・2戦のホームチームが2連勝したケースは過去に21回あったが、うち16チームが日本一に輝いている。実に76.2%という数字だ。
だが、1勝以下に終わった場合は31.3%と、その確率は急激に下がる。2連敗したケースでは3勝10敗、1勝1敗の五分で2戦を終えたケースであっても11勝21敗と、日本一の確率は3割程度まで落ち込む。ここでどうしても2連勝、そのためには初戦を絶対に落とせないとなると、かかるプレッシャーが重くなるのはホームチームになる。
逆にビジター側にとっては、敵地での2試合で1勝以上を挙げた場合、68.9%の確率で日本一となっている(31勝14敗)。2戦のうち一つでも星を取れば優勝の可能性が高まることを考えると、そこまで気負わずに初戦に臨めるのかもしれない。
巨人はビジターでの第3・4・5戦の勝率が高い
しかしこれはあくまでもNPB全体のデータの話。今回の2チームに絞って見てみると、また違った見え方になる。
巨人が第1・2戦をホームで戦うのは、過去に20回あった。そのうち1勝1敗で終えたのが12回。この12回のうち9度優勝している。2連勝を含め1勝以上を挙れば、なんと81.8%の確率で日本一に輝いているのだ。
また仮に2連敗したとしても、まだ可能性はある。過去70年に第1・2戦をホームで2連敗したチームが、その後巻き返して日本一に輝いたケースはわずかに3度しかないが、その中の一チームが2000年の巨人だ。しかもその時の相手はダイエー(現ソフトバンク)だった。
ソフトバンク目線で見ると、第1・2戦をビジターで戦ったのは6回。うち3回が巨人戦で、その全てで日本一を逃している。その中には、ビジターで2連勝を飾ったり、1勝1敗で切り抜けたにもかかわらず、本拠地でその勢いを持続できなかった過去がある。
これまでの両チームの直接対決の星を見てみると、巨人ホームの第1・2戦の通算戦績は3勝3敗でまったくの五分。だがソフトバンク(ダイエー・南海時代含む)ホームの第3・4・5戦は6勝3敗、巨人のホームに帰ってきての第6・7戦は4戦全勝と、圧倒的に巨人が優勢な戦績となっている
これは対ソフトバンク戦に限ったことではない。巨人は過去にビジターでの第3・4・5戦を24勝19敗と五分以上の成績で切り抜けているのだ。こうして見ると、巨人はホームの第1・2戦で、1勝さえ挙げることができれば日本一に近づくといえるかもしれない。
ホーム・京セラ開催も、巨人にとっては不利に働かない
とはいえ、今年の日本シリーズでは、巨人のホームゲームはいつもの東京ドームではなく、京セラドーム大阪での開催となっている。日本シリーズを本拠地以外で戦うのは、1980年の近鉄バファローズ(オリックス・ブルーウェーブとの吸収合併で消滅)以来、40年ぶりとなる。この時は本来の本拠地・藤井寺球場がナイター照明の不備で使用できず、大阪球場(正式名称・大阪スタヂアム)をホームに第3・4・5戦を戦った。第1・2戦をビジターで2連勝して迎えた“ホーム”の第3・4戦で2連敗、最終的に3勝4敗で広島カープに日本一を奪われた。
だがこの時と違うのは、巨人は京セラドームが開場した1997年から(当時名称は大阪ドーム)、ほぼ毎年ホームゲームを開催している。これまでに32試合を主催して19勝13敗、勝率は59.4%。同じ期間でのホームゲームの勝率が59.7%だから、ほぼ同等の数字だ。
また、巨人は過去に日本シリーズにおいて京セラドーム(大阪ドーム時代を含む)で試合をしたことはないが、関西で開催された日本シリーズの試合では、30勝21敗(58.8%)と良い成績を残している。
これらの数字を見ても、京セラドームでのホーム開催は決して不利には働くとはいえないだろう。いやむしろ巨人8年ぶりの日本一奪還は現実的なのではないかとさえ思えてくる。エースの菅野智之で挑む第1戦、ここで白星をつかみ取ることができれば……、断言してもいい。巨人が優勝する、と。
しかし、あくまでもデータはデータ。過去の結果の集積にすぎない。これから行われる日本シリーズはあくまでも未来であり、その結果をつくるのは今の両チームの選手たちだ。
新型コロナウイルスの感染拡大によりさまざまな影響を受けた2020年のプロ野球界、最後に笑うのは、果たしてどっちだ? 新たな歴史が刻まれるのを楽しみに待ちたい。
<了>
巨人とソフトバンク、”金満”対決はどちらに軍配? 年俸総額は圧倒的に……
[プロ野球12球団格付けランキング]最も成功しているのはどの球団?
巨人・坂本勇人が人知れず背負い続けた6年間の重圧。日本一奪還へ、キャプテンの矜持
日本シリーズ「優勝の方程式」3箇条とは? 巨人OBが語る「2・3・2」の法則
この記事をシェア
KEYWORD
#COLUMNRANKING
ランキング
LATEST
最新の記事
-
遠藤・守田不在の森保ジャパンで際立つ佐野海舟の存在感。「沈黙の1年」を経て示す責任と現在地
2025.10.17Career -
「アモリム体制、勝率36.2%」再建難航のファーガソン後遺症。名門ユナイテッドは降格候補クラブなのか?
2025.10.17Opinion -
英紙記者が問う「スター選手放出の愚策」。迷走のマンチェスター・U、全責任はアモリム監督にあるのか?
2025.10.17Opinion -
「やりたいサッカー」だけでは勝てない。ペップ、ビエルサ、コルベラン…欧州4カ国で学んだ白石尚久の指導哲学
2025.10.17Training -
何事も「やらせすぎ」は才能を潰す。ドイツ地域クラブが実践する“子供が主役”のサッカー育成
2025.10.16Training -
なぜ卓球を始める子供が増えているのか? ソフトテニス、バスケに次ぐ3位も「中学生の壁」の課題
2025.10.15Opinion -
“完成させない”MLSスタジアムが見せる、日本が学ぶべき新たな視点。「都市装置」としての最前線
2025.10.15Technology -
「普通のボランチにはならない」宮澤ひなたがマンチェスター・ユナイテッドで示す“6番の新境地”
2025.10.09Career -
中国の牙城を崩すまであと一歩。松島輝空、世界一・王楚欽の壁を超えるために必要なものとは
2025.10.09Career -
日本競馬の夢、再び――凱旋門賞に3頭参戦。ダービー馬クロワデュノールらが挑む欧州の壁、歴史の扉
2025.10.03Opinion -
12チーム目のリーグ王者へ。J1初戴冠に挑む京都サンガ、逆境を跳ね返す“勝負強さ”の源泉とは
2025.10.03Opinion -
欧州で重い扉を開いた日本人指導者の“パイオニア”。J3高知ユナイテッドの新監督に就任した白石尚久の軌跡
2025.10.01Career
RECOMMENDED
おすすめの記事
-
「アモリム体制、勝率36.2%」再建難航のファーガソン後遺症。名門ユナイテッドは降格候補クラブなのか?
2025.10.17Opinion -
英紙記者が問う「スター選手放出の愚策」。迷走のマンチェスター・U、全責任はアモリム監督にあるのか?
2025.10.17Opinion -
なぜ卓球を始める子供が増えているのか? ソフトテニス、バスケに次ぐ3位も「中学生の壁」の課題
2025.10.15Opinion -
日本競馬の夢、再び――凱旋門賞に3頭参戦。ダービー馬クロワデュノールらが挑む欧州の壁、歴史の扉
2025.10.03Opinion -
12チーム目のリーグ王者へ。J1初戴冠に挑む京都サンガ、逆境を跳ね返す“勝負強さ”の源泉とは
2025.10.03Opinion -
「Jリーグ秋開幕」と育成年代。大学・高校サッカーはシーズン移行とどう向き合うべきか?
2025.10.01Opinion -
アーセナルは今季リーグ優勝できるのか? 「史上最強スカッド」でアルテタ監督が挑む22年ぶり栄光の鍵とは
2025.09.12Opinion -
運命を変えた一本の電話。今夏490億円投じたアーセナル、新加入イングランド代表MF“14年ぶり”復帰劇の真相
2025.09.12Opinion -
“永遠のサッカー小僧”が見た1993年5月15日――木村和司が明かす「J開幕戦」熱狂の記憶
2025.09.05Career -
史上稀に見るJリーグの大混戦――勝ち点2差に6チーム。台頭する町田と京都の“共通点”
2025.08.29Opinion -
Wリーグ連覇達成した“勝ち癖”の正体とは? 富士通支える主将・宮澤夕貴のリーダー像
2025.08.29Opinion -
「ずば抜けてベストな主将」不在の夏、誰が船頭役に? ラグビー日本代表が求める“次の主将像”
2025.08.18Opinion