新生DeNA、梶谷の穴は誰が埋める? 外国人不在に“得点力”のカギは2人の良きライバル
横浜DeNAベイスターズを取り巻く状況は決して楽観視できない。外国人選手が一人も来日できず、昨年チームの中心を担った選手が数多く去った。厳しい戦いを強いられることは間違いないだろう。
だがそれでも、この2人には新生DeNAを力強く引っ張ってくれるのではないかと期待したくなる。三浦大輔新監督がテーマに掲げる“得点力”。そのキーマンとなるのは、まったく違う野球道を歩んできた良きライバルだ――。
(文=石塚隆、写真=Getty Images)
巨人へFA移籍した梶谷の穴を埋めるのは…?
三浦大輔監督のもと、新たなスタートを切った横浜DeNAベイスターズ。今シーズンはDeNA体制になり10年目 の節目であり、チームとして23年ぶりの優勝と日本一 を目指したいところだが、ここまでオープン戦を見る限り厳しい戦いを強いられそうだ。
なにより外国人選手が一人も来日できなかったことに 危機感を持たざるを得ない。ネフタリ・ソトとタイラー・オースティンという打線のコアとなるバッターを欠き、投手では昨年56試合に登板した左の鉄腕リリーバーであるエドウィン・エスコバー 、先発候補と目されていた新外国人のフェルナンド・ロメロら も開幕には間に合わない。加えて、昨年までチームを支えた梶谷隆幸 、井納翔一 、ホセ・ロペス 、スペンサー・パットン らがチームを去り、補強という部分でチーム力の上積みができているとは言い難い。いずれにせよ外国人勢が顔をそろえるまで、我慢の野球を強いられることになるだろう。
“得点力”のカギは、佐野・宮﨑の前にいかにランナーを置けるか
三浦監督が就任にあたってチームのテーマに掲げたのは“得点力”である。
DeNA初の投手出身の監督 ということもあり、守備的で堅実な野球をするのではないかと予想していたが「相手より1点でも多く取るのが野球ですからね」と、走塁への意識も含めキャンプからオープン戦にかけ、いかに効率的に1点を取るのか腐心している様子が見て取れた。
外国人選手がいない現状において、計算できるバッターはキャプテンの佐野恵太と宮﨑敏郎の首位打者コンビ であることは間違いないが、大切なのはこの両者の前にいかにランナーを置くことができるのか。つまり上位打線がキーポイントになる。
昨シーズンは首位打者争いをした梶谷 がリードオフマンを死守したが、今季は現状を見る限り桑原将志 と神里和毅 の争いになりそうだ。
2年間不振で苦しい時期を過ごした桑原の吹っ切れた表情
桑原はかつてレギュラーであったにもかかわらず過去2シーズン、不振 にあえぎ苦しい時間を過ごしてきた。再浮上するのは困難かと思われたが、キャンプ前に取材で顔を合わせた時、「もう、やるしかないっすよ」と思いのほか明るい表情だったので、なにか吹っ切れたものがあったのかもしれない。
「復活ではなく、新しい自分を見せたい」
キャンプはファームでのスタートだったが、少ないチャンスを着実につかみ、オープン戦では積極的に起用されている。最終的には3割近い数字を残し、また1番打者として初回の打席でヒット を重ねる、まさに切り込み隊長だった。不振時に見られていたボール球に手が出る癖や、ゾーン内での打ち損じが減っており、かつての輝きを取り戻しつつある。
「自分は考えすぎるとダメなタイプなんですけど、今年は練習から自然体でいい感覚でバットが振れています。この感覚を忘れないようにしたいですね」
外野の守備はチームでナンバーワン。パンチ力はもちろん、ムードメーカーでもある元気印の帰還は、チームにとって確実にプラスになるだろう。
昨季割り切って試した成果を発揮する時、神里の自信
一方で神里も負けてはいない。毎年オープン戦の時期は調子が上がらず、昨年はそれが原因で梶谷にポジションを奪われてしまったが、今年はバットがよく振れている。持ち味である逆方向への強い打球に加え、フォアボールでしっかりと出塁できているのもプラス材料だ。
今季のテーマは「一打席一打席を大切にすること」に加え「出塁率4割」を掲げている。神里は昨季、見逃しの三振が多かった。それに関しては「自分で判断したことですし、ストライクを取られてしまったら仕方がない」と言うが、ゾーンにおける微細な見極めにはどこか自信がうかがえる。さらに昨年は規定打数に届かなかったものの打率を3割 に乗せており、佐野、梶谷、オースティンという強力な外野の布陣を鑑みて自分の出番は少ないと判断し、割り切ることでいろいろなことを試した結果だった。
「その成果を発揮するのが今シーズンだと思うので、積み上げてきたものをいかに発揮できるのか。勝負の年ですね」
静かな口調ながら熱を帯びた言葉。神里はそう言うと、力強い表情を見せてくれた。
互いをリスペクトする同い年のライバルに求められる役割
捲土重来(けんどちょうらい)の桑原と、春からフル回転を誓う神里。俊足好打の外野手である両者は同じ学年であり、今季28歳になる 。桑原は高卒のたたき上げ であり、神里は大学・社会人を経由しての入団 。まったく違う野球道を歩んではきているが、互いにリスペクトするライバル同士である。
現状では桑原がリードオフマンとして一歩リードしているが、神里は打順にこだわりはないと語っておりオープン戦では3番などで起用 されている。2人に求められるのは、まず出塁。そしてここぞという時の強振だ。彼らには梶谷が抜けた穴を感じさせないことはもちろん、高いレベルで競い合い、ぜひダイヤモンドをかき回してもらいたいものだ。
<了>
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