なぜサッポロビールは箱根駅伝で男女ドラマ風CMを制作したのか? 34年支え続けた想い
今大会で箱根駅伝のスポンサーとなって34回目を迎える、サッポロビール。選手、ファンと同じ目線で向き合いたい想いのもと、箱根駅伝に寄り添う事業を行っている。箱根駅伝にかける大切な想いを、サッポロビール株式会社マーケティング開発部メディア統括グループの内藤誠俊氏に話を聞いた。
(インタビュー・構成=浜田加奈子[REAL SPORTS編集部]、インタビュー撮影=REAL SPORTS編集部、写真・資料提供=サッポロビール株式会社)
なぜ、サッポロビールは箱根駅伝に協賛し続けるのか?
サッポロビールはさまざまなスポーツチームや大会のスポンサーを務めていますが、なかでも箱根駅伝のスポンサーは今回で34回目と長く応援されています。どういったきっかけで箱根駅伝のスポンサーとなったのでしょうか?
内藤:誰もやったことがない、前例のない大きなことに取り組みたいと考え、日本テレビ様と共に取り組みを開始しました。また箱根駅伝を走る学生が、仲間の為にたすきを繋ぐ懸命な姿は、弊社のものづくりへの想いに通ずると考えた為です。
その当時からスポーツに対して支援していきたいという理念があったんですね。
内藤:そうですね、当社は「開拓使麦酒醸造所」からその歴史をスタートしたこともそうですが、開拓者精神のようなものが根付いているため、新しいことにチャレンジする風土が弊社にはあります。
箱根駅伝に真摯に向き合っていることを伝えたい
近年の箱根駅伝の生中継中に流れるサッポロビールのCMには選手を中心としたドキュメンタリーのようなCMが制作されておりますが、このCMはどのような意図で作られるようになったのでしょうか?
内藤:いくつか経緯はありますが、「サッポロビールが箱根駅伝を応援する姿勢」を、視聴者の方に理解してもらいたいと思い制作を始めました。2011年から60秒という長尺CMを作り始めました。ちなみに1作目は箱根に携わる人ということで寄木細工の職人さんや箱根登山鉄道の方たちをメインにして制作しました。内容としては箱根登山鉄道であったら、選手が踏切渡る瞬間、鉄道を止めるのでその鉄道スタッフに注目したりしました。
また制作するうえで、箱根駅伝を観ている人がCMを見て「楽しめる・共感できる」といったことを大事にして、現在も制作をしています。
ちなみに、予選会で配布された新聞は、選手へのメッセージとなるよう広告を掲載されていましたが、こちらはどのような狙いで制作されたのでしょうか?

内藤:この新聞広告は、今年から制作しました。長年当社が箱根駅伝を応援しているからこそ、伝えられるメッセージを「ファンの人にわかってもらいたい」「当社の想いを知ってもらいたい」と思い、メッセージ性のあるものを作りました。特にファンと同じ温度感と同じ目線で箱根駅伝をしっかりと見ているというところを重視しました。
ちなみにこの新聞広告の別バージョンが1月2日にも掲載予定となっていますので楽しみにしていてください。
この新聞広告はシンプルだからこそ文字に目が留まり、書いてある文字が駅伝選手、選手関係者、ファンなど幅広くささる言葉が書いてあるのがいいですよね。
内藤:商品を広告で出すのは当たり前ですが、そうではなくちゃんとスポーツと向き合いたい想いがあります。
箱根駅伝はさまざまな人たちの想いでつながっている
サッポロビールの公式ホームページ内にある箱根駅伝応援サイトに、「箱根駅伝への想いをつなぐ」と題したインタビューが数本掲載されております。このような応援サイトでは選手やOB選手など競技に関わる人のインタビューが掲載されるイメージがありますが、こちらのサイトではインタビュー対象者は箱根に携わる地域の人たちだったので違った視点の箱根駅伝を知れるので面白いと思いました。内藤:当社は平成の時代からずっと箱根駅伝を応援しており、令和になってもやっぱり応援する姿勢というのは変わらない、それは当社だけではなく支えている周りの人たちみんなもそうではないかと思い、箱根駅伝ミュージアムの館長、箱根登山鉄道の社長、箱根町箱根観光協会の会長にインタビューさせていただきました。今後、100回、200回と続く大会を応援していきたいという想いで、箱根駅伝応援サイトに支える方々のインタビュー記事を掲載しました。箱根駅伝を縁の下で支える方達にも注目してもらいたいと思っております。
箱根登山鉄道の社長の記事では、登山鉄道と駅伝の選手はどちらが速いか、といったことも掲載されていて登山鉄道、選手両方のことを知ることができて面白い記事だと思いました。
内藤:あれは僕も面白いと思いました。
箱根駅伝ミュージアムの中に6区の選手たちの待機場所になっていることも記事で知ることができたので、箱根駅伝以外で箱根に訪れた時に行ってみたいと思う楽しみが増えて、選手のインタビューだけでなくても箱根駅伝を知る面白さを伝えることはできるんだなと感じました。
内藤:箱根には飲食店や宿泊施設もたくさんあるので、箱根駅伝を通して箱根のことを知ってもらい、もっと多くの方々に箱根に訪れて頂きたいですね。
箱根駅伝応援サイトは箱根駅伝が終了したら閲覧することはできなくなるのでしょうか?
内藤:今までは箱根駅伝終了後、閲覧できないようになっていましたが、せっかく作成したもので、お客さまからももったいないとのお声をいただきましたので、年間を通じて閲覧できるようにしました。今後も、ファンの方に楽しんで頂けるようコンテンツを増やしていきたいと思っております。
そして近日、関東学生陸上競技連盟のインタビューも箱根駅伝応援サイトに公開予定です(編集部注:インタビュー実施の12月16日は未公開となっていたが、現在箱根駅伝応援サイトにて公開中)。箱根駅伝の運営は関東学生陸上競技連盟が行っており、学生主体で運営を行っております。これを知らない人も多いかと思うのでぜひ読んでいただきたいですね。
箱根駅伝の会場ではどのようなアクティベーションをされているのでしょうか?
内藤:芦ノ湖のゴールでスポンサー各社がチャリティーブースを出店しています。 前回第95回大会ではビールジョッキとトートバッグを販売してその売り上げの一部を箱根町に寄付を行うことをしました。あとは大手町でもポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社がドリンクを販売したりしました。箱根駅伝はサッポロホールディングスが事業協賛をしておりますので、今後もグループ全体で箱根駅伝を応援していきたいと思っております。
時代に合わせて広告も新たな挑戦を行う
テレビ中継だけでなく去年おととし頃からインターネットでライブ中継も行われていますが、見る年代、見る環境の変化によって今後はそちらの利用ユーザーも増えてくるかと思います。インターネットのライブ中継での広告は現在と変わらず行っていくのでしょうか?
内藤:少しずつ広告手法を変えていっています。特に当社が力を入れたいターゲットは20代の人たちで、その人たちにもっと箱根駅伝を見てもらいたいと思っています。世の中的にもテレビを見る機会が減ってきているなかで20代に向けてどういうメッセージを出して、より箱根駅伝に注目してもらうかを考えているところとなります。
箱根駅伝が注目されている近年、1月3日の大手町に行くと、選手が通るだけで黄色い声援が飛んだり、選手のTwitterのフォロワー数も多かったりします。なので、そういった状況をうまく生かしながらもっと20代に向けてメッセージを打ちたいと思い、2020年1月2日、3日に日本テレビ系列で放送される、「第96回箱根駅伝」で「第96回箱根駅伝用オリジナルCM」年始特別バージョンでは西野七瀬さん、清原翔さんと若い人のアイキャッチになるタレントを起用しました。
前回大会は選手を起用して2020年に向かってというCMでしたが、今回は箱根駅伝に勇気をもらい、前を向く2人の男女のストーリーを、男性篇・女性篇として2篇、ドラマ風のCMを制作しました。そういったかたちで少しずつCM制作や応援サイト、Twitterにも変化を加えていき、若い人にももっと見てもらいたいなと思っています。


CM制作は結構時間がかかったのでしょうか?
内藤:箱根駅伝のCMは結構時間がかかりました。通常の商品CMとは少し異なって、 会社としてどう箱根駅伝を表現するかなどが重要になるのでその分時間がかかります。今回の2篇のCMに加えて、この2篇を合わせた3分半のロングバージョンも制作しました。このロングバージョンを見ると、CM2篇の内容が分かるようにしているので是非ロングバージョンも見ていただきたいです。

今までは選手のドキュメンタリーのようなCMが多かったので今回はドラマ風のCMの中に箱根駅伝が関わっているので今までとはまた違ったCMでいいですね。
内藤:なかなかこういうCMは今まで制作していませんでしたが、今回はドラマ性のあるCMにしてみました。どのような反応をいただけるのかわかりませんが、20代など若い人にも見ていただきたいです。
常に進化を続けながら箱根駅伝を応援し続けたい
若い人にも興味を持ってもらえるようさまざまな取り組みも行っておりますが、サッポロビールの社員みなさんの箱根駅伝に対する反応はどのような感じでしょうか?
内藤:視聴率30%を超える番組はなかなかないので、当社内でもやっぱり注目していますし、社内的なインナーモチベーションの向上にもつながっております。やっぱり、自分が所属している会社のCMが沢山ながれると、新年から嬉しい気持ちになりますよね。また当社は引継ぎがある際にも「たすきを繋ぐ」という表現を使っていたりもします。前任者からの想いを次の後任に託す、こういう場面があることも、箱根駅伝を応援させて頂いてよかったなと思っております!
インナーモチベーションの一部になっていると社員の方でも箱根駅伝に詳しい方も多そうですね。
内藤:詳しい社員はすごく多いです。選手一人ひとりについてとか詳しい人も結構います。
箱根駅伝の予選会や関東学生網走夏季記録挑戦競技会なども詳しそうですね。
内藤:そうですね、すごく詳しい人が多くて、もっとこの選手を取材してほしいとか言われます。(笑)
あとは年始に他の企業の方と名刺交換をすると「箱根駅伝面白かったよ」といった会話のフックになったりもしています。なので、箱根駅伝といったらサッポロビールというのがだいぶ、認知度が上がってきているので、会社としてずっと応援していきたいという想いがあります。
そこの部分がサッポロビールとして箱根駅伝にかける想いとなるんですね。
内藤:そうですね。
内藤さん個人として箱根駅伝にかける想いなどはありますか?
内藤:神奈川出身で、小さい頃からずっと箱根駅伝を見て育ちました。学生時代にはアルバイトで、大手町で箱根駅伝の旗を配布していたこともありました。サッポロビール入社後も、この素晴らしい大会に担当として関わることが出来、日々「やりがい」と「責任」を持って臨んでおります。これだけ注目されている大会だからこそ、社内外問わずもっとアピールをしてきたいと思っています。 商品としては、「サッポロ生ビール黒ラベル箱根駅伝缶」を販売していますが、今後はもっと違う取り組みも行いたいと考えております。
これからも常に進化していくように動いていきたいと思っています。あと僕個人としてもスポーツをしていたので、やっぱりこういったスポーツに携わることができて楽しいですね。なので、それをうまく会社にとってもプラスになるようなことを常に考えて、 いろんな場面で発信できたらと思っております。
<了>
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PROFILE
内藤誠俊(ないとう・まさとし)
サッポロビール株式会社 マーケティング開発部 メディア統括グループ
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