手越祐也が痛感した、世界との差。なぜ日本はサッカーでも芸能でも世界に勝てないのか?
昨年6月、17年半所属したジャニーズ事務所を退所し、新たな道を歩み始めた手越祐也さん。大のサッカー好きとしても知られ、FIFAワールドカップやFIFAクラブワールドカップのメインキャスターも務めた。自身も4歳からサッカーを始めたという手越さんは、世界のサッカーを直接その目で見た中で、何を感じてきたのだろうか? そこには、サッカー界にも芸能界にも通じる、日本の問題点があった――。
(インタビュー=岩本義弘[REAL SPORTS編集長]、構成=REAL SPORTS編集部、撮影=軍記ひろし)
会って一番興奮した選手は、同い年で身長もほぼ同じの……
――手越さんはこれまでに取材で世界中のサッカーを見てきましたが、実際にどこに行きましたか?
手越:イギリス、スペイン、ドイツ、ギリシャ、クロアチア、ブラジル、ロシア、ポルトガル、メキシコ、イタリア……他にもあったと思うけど、10カ国以上は行ってますし、何回も行ってますね。
――特にインパクトがあったのは?
手越:やっぱりブラジルワールドカップはすごく記憶に残ってますね。開幕戦がブラジル対クロアチアで、クロアチアがオウンゴールで先制して、とんでもない雰囲気になったんですよね。暴動が起きるんじゃないかなと思ったもんね、もしブラジルが初戦で負けたら。(※最終結果はブラジルが3―1で逆転勝ち)
――普通なら絶対に入れないところに、オフィシャルだからこそ入れているのはすごい経験ですよね。クラブで一番すごさを感じたのは?
手越:レアル・マドリードはすごかったなあ。練習場もクラブハウスの環境もすごくて、下部組織からだんだんステップアップしていくと、Bチーム(3部リーグ所属)のスタジアム(エスタディオ・アルフレッド・ディ・ステファノ)があって。1つずつ上がっていけば、どんどん(トップチームのスタジアム)サンティアゴ・ベルナベウに近づく、夢に近づけるというあのつくりは、選手のモチベーションにもなるだろうし、すごいなって思いました。
――会って一番興奮した選手は?
手越:(リオネル・)メッシ(バルセロナ)かな。30分くらいインタビューしました。
――メッシのインタビューとしてはすごく長いと思います。
手越:人柄もすごく良かったし、俺と同い年で背のサイズがほぼ一緒の選手がバイエルン・ミュンヘン(所属選手のような体格に優れた)相手に全然倒れなかったり、変にファールをもらいにいかないし。プレースタイルも人となりも含めて全部好きかな。
――あの体型でフィジカルも強くて、世界の頂点にいるというのが尋常じゃないですよね。
手越:尋常じゃないですね。
キャスターをやる上でのストロングポイントは普段自分が……
――手越さんはすごく忙しいのに、それでも睡眠時間を削ってでもサッカーを見ていましたよね、サッカーの仕事が始まる前からずっと。当時からあれだけ見ている芸能人は他にいないなと思っていました。
手越:確かにいないと思いますね。
――あれがキャスターとしての説得力になっていたように思います。
手越:はい、でも最初は大変でしたけどね。すごく見てるのに、“絶対にわかでサッカー知らねえだろ”、“ジャニーズ起用すんなよ”って言われることが多かった。でも絶対俺の方が見てるっていう自負はあったから。しかも実際にプレーもするし。最初は悔しかったですけどね。
――手越さんがうまいのは、そういった中でも選手へのリスペクトを出しつつ、だけどちょっとしたタイミングで自分はちゃんと見てるんだよってところを入れる。それは最初の方からやっていましたよね。
手越:うんうん。確かに。
――自分がどう見られているかを把握する能力が高いなと思います。詳しいからといって話し過ぎちゃうと、自分が主役になってしまう。でもあくまでも選手が主役なのでそれじゃ意味がないと。スポーツキャスターをやる上で他に気を付けていることはありますか?
手越:スポーツキャスターをやってて、自分が他のアナウンサーには絶対できないストロングポイントと思ってたのは、自分が普段インタビューを受けることがあるからこそ、どういうふうなテンションで聞かれたら答えやすいのかがわかること。そこは俺にしかない強みだなと思います。サッカー選手だって人間じゃん。例えば試合が終わった後のインタビューで、多くのアナウンサーやキャスターの人は「勝利を収めましたが気持ちはいかがですか?」くらいの聞き方ですけど、やっぱり選手も人間だから、「いやあ、素晴らしい試合でしたね! 今日はどうでしたか、試合?」ってテンション高く聞いてあげた方が、選手も素を出してくれるし、本音を聞きやすくなるなって思います。
――特に試合後は選手のテンションに合わせた方がいいですよね。
手越:みんなかしこまり過ぎなんだと思います。自分もインタビューを受けるときに、堅くて低いテンションでこられると、こっちもそのテンションになっちゃう。でもテンション上げてきてくれたら、人間ってそれに応えるから。そういうので選手の素を出せるのは俺にしかないストロングポイントだなって思いながらやってました。アナウンサーっていう職業柄、堅く聞くのはしょうがないのかもしれないけど。でもやっぱり視聴者が喜ぶのが一番大事なわけだから、いかに選手の素を引き出すのかというのはすごく大事だと思いますね。
日本と世界のサッカーは、全てにおいて差がある
――実際に海外にサッカーを見に行って感じたことは?
手越:海外でサッカーの取材をするたびに、やっぱ日本との差は感じる。全てにおいて。全然まだまだだなって思う。
――具体的にはどんなところが違うと感じますか?
手越:まずは、サポーターの反応するところが違う。
――スタジアムで?
手越:はい。やっぱり、全然目立ったプレーじゃないんだけど、例えばFWが前からすごくプレスをかけて、ボランチとかがボールをカットしたとき。(FWの選手に対して)日本だと拍手は起きないけど、海外だと拍手が起きる。みんなわかってるんですよね。直接ボールを取ったわけじゃないんだけど、誰のおかげでマイボールになったかというのが。俺も自分でサッカーやってて「そこいけないよね」と思うようなときでも、前プレスを一生懸命かけて、追い回して。(ルイス・)スアレス(アトレチコ・マドリード)とかがよくやるけど。そういうときに、ここで拍手が起きたら選手はもう一回いけるモチベーションになるよなと思う。
あと、目が厳しい。自分が応援するチームだろうが、甘いプレーとか気持ちがこもってないプレーをしたら容赦なくブーイングする。それも日本だとない。やっぱりギリギリのピリピリした環境で選手は戦ってるから、一試合に懸ける思いも、一個のボールロストに対しても、日本とは比べ物にならないなとは思う。まあ、これはサッカーだけじゃなくて、きっと芸能とかもそうなんだろうけど。
――日本の芸能界は厳しいんじゃないですか?
手越:コンプライアンスは厳しいけど、結果に対しては厳しくないかなと思います。日本の芸能界は、過程には厳しいけど、結果を見ないから。だからきっとヨーロッパ、アメリカ、アジアにも勝てないんだろうなって思います。
――クオリティーへのこだわりが低いと。
手越:低い。やっぱり海外は、サッカー選手もそうですけど、言い方は悪いけど、どんなに練習をサボろうが点を取ってたら文句を言われないですよね。でも日本は点を取ってても、練習サボったら文句を言われるみたいなところ。その時点で勝てないですよね。スポーツも芸能も見てもらえるのは結果。だから甘いなと思いますね。
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<了>
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PROFILE
手越祐也(てごし・ゆうや)
1987年11月11日生まれ。2003年9月に男性アイドルグループ・NEWSのメンバーとしてデビュー。オリコンのアルバムランキングで12作連続の1位を獲得した。2006年11月に増田貴久とヴォーカルユニット、テゴマスを結成。歌手活動のみならず、バラエティー、スポーツキャスター、俳優など幅広く活動した。4歳からサッカーを始めた経験を生かし、FIFAクラブワールドカップ、FIFAワールドカップでメインキャスターを務めた。2020年6月、ジャニーズ事務所から独立。YouTube『手越祐也チャンネル』の登録数は2週間弱で100万人を達成した。
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