
[箱根駅伝 誕生月ランキング]“チーム競技であり個人競技”な駅伝でも「早生まれ」は不利なのか
正月の風物詩、東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の第97回大会開催がいよいよ迫ってきた。今大会は青山学院大学、東海大学、駒澤大学の“3強”に加え明治大学、早稲田大学を含め優勝争いは混戦が予想され、どのような展開が生まれるか注目が集まる。そこで今回は箱根駅伝に挑む選手たちの「誕生月」を集計し、ランキングを作成した。日本のスポーツ分野、特にチームスポーツは「早生まれ不利」という定説があるが、果たしてチームスポーツでありながら個人スポーツでもある駅伝は何月生まれの選手が多いのだろうか?
(文=REAL SPORTS編集部)
箱根駅伝チームエントリーの全336人の誕生月を集計
まず初めに「遅生まれ」と「早生まれ」について簡単に説明したい。日本の学校教育の「学年」は4月に始まり、翌年3月31日に終わると定められている。結果として、同学年の中に、4月から12月までの「遅生まれ」と、翌年の1月から3月生まれの「早生まれ」という2つの年にまたがった誕生日を持つ子どもが混在することになる。よって、「遅生まれ」「早生まれ」の格差、特にスポーツ分野では「早生まれ不利」という意識が根強く残っている。
確かに、チームスポーツは1月~3月生まれの「早生まれ」は少ないが、箱根駅伝出場選手はどうなのか? 襷をつないで走りチームで競うためチームスポーツに分類されるが、選手それぞれの個人記録も重要となるため個人スポーツの面もある。
ランキング作成にあたり12月10日に関東学生陸上競技連盟が発表したチームエントリー、関東学生連合チームを含めた21チーム(各チーム16人で計算)全選手合計336人の誕生日を集計し、「箱根駅伝 誕生月ランキング」を作成した。
●箱根駅伝参加選手の誕生月
————————————————————————————————-
1.7月 39人
2.6月 34人
2.9月 34人
4.1月 30人
5.10月 29人
5.11月 29人
7.12月 28人
8.3月 26人
8.4月 26人
10.8月 24人
11.5月 23人
12.2月 14人
————————————————————————————————-
チームスポーツ特に野球、サッカーは4月~6月生まれが多いといわれているが、箱根駅伝参加選手は少し異なる結果となった。チームスポーツではおおよそ4月~6月生まれが全体の30%前後を占め、1月~3月は全体の10%前後に留まることが多いが、箱根駅伝参加選手はそこまで大差のない結果となった。
学年別に集計した場合もどの学年も1月~12月でゼロ人となる月はないが、2年生~4年生は1位、2位に6月、7月生まれがランクインしている一方、1年生は2年生~4年生では少ない人数の月生まれが上位にランクインする結果となった。
1月~12月すべての月生まれが所属しているチームは全16チームにはなかった。そして「早生まれ」の選手が一人も所属していないチームは16チーム中、国士舘大学1チームのみだった。また国士舘大学は7月~9月誕生月選手が多く半数以上を占める結果となった。
駅伝は「早生まれ不利」の競技なのか
箱根駅伝出場選手全体、チームごとの誕生月がわかったことで、次は注目選手の誕生月をまとめた。
————————————————————————————————-
吉田圭太(4年 青山学院大学)8月31日
塩澤稀夕(4年 東海大学)12月17日
田澤廉(2年 駒澤大学)11月11日
小袖英人(4年 明治大学)5月5日
中谷雄飛(3年 早稲田大学)6月11日
太田直希(3年 早稲田大学)10月13日
————————————————————————————————-
注目選手としてあげた選手は全員「遅生まれ」という結果になったが、前述のように野球やサッカーとは異なり6月以降の生まれの選手が多い。
過去に箱根駅伝で活躍した選手や日本代表として現在活躍している選手もまとめてみた。
————————————————————————————————-
柏原竜二(85回、86回、87回、88回箱根駅伝 東洋大学) 7月13日
上野裕一郎(81回、82回、83回、84回箱根駅伝 中央大学) 7月29日
佐藤悠基(82回、83回、84回、85回箱根駅伝 東海大学) 11月26日
神野大地(90回、91回、92回箱根駅伝 青山学院大学) 9月13日
大迫傑(87回、88回、89回、90回箱根駅伝 早稲田大学) 5月23日
設楽 悠太(87回、88回、89回、90回箱根駅伝 東洋大学) 12月18日
井上大仁(88回、89回、90回、91回箱根駅伝 山梨学院大学) 1月6日
川内優輝(83回、85回箱根駅伝 関東学生連合・学習院大学) 3月5日
二岡康平(92回箱根駅伝 駒澤大学) 2月5日
————————————————————————————————-
過去に箱根駅伝で活躍した選手や日本代表として現在活躍している選手も「遅生まれ」の選手が多い結果となった。
「早生まれ不利」は学校教育の「学年」によるくくりによる活動によって影響している説もある。そのためチームスポーツである野球やサッカーは学年にくくられることが多く、「遅生まれ」の選手よりも体格などの成長に不利になる場合があり、適切な環境で練習を行えず才能が埋もれてしまう場合もある。
一方、個人スポーツとは学年というくくりがなく、「遅生まれ」と比較されたり、生まれ月に関係なくそれぞれのレベル別にスポーツを行えることが多いため早生まれの選手でも多く活躍していることがある。
その点を踏まえると駅伝はチームスポーツではあるが、個人スポーツと似たような面を持っているため野球やサッカーのように「遅生まれ」と「早生まれ」の格差がさほどないスポーツといえるかもしれない。
<了>
箱根駅伝、台風の目は明治大だ!“高速化”の象徴、史上最速のレースへ注目選手は?
[箱根駅伝・平均タイムランキング]本命・青学は5位、東海は19位。圧倒的な1位は…?
箱根駅伝、史上初“無観客”が選手に与える影響は? 山上り経験者が語ったリアルな心情
箱根3位・國學院大を熱く支える「日本発ブランド」SVOLME社長のこだわりと挑戦
この記事をシェア
KEYWORD
LATEST
最新の記事
-
日本人監督が欧州トップリーグで指揮する日はくるのか? 長谷部誠が第二のコンパニとなるため必要な条件
2025.04.11Career -
久保建英「黒歴史」乗り越えて芽生えたリーダーの自覚。選手としての成長と森保ジャパンの進化
2025.04.07Career -
躍進する東京ヴェルディユース「5年計画」と「プロになる条件」。11年ぶりプレミア復帰の背景
2025.04.04Training -
育成年代で飛び級したら神童というわけではない。ドイツサッカー界の専門家が語る「飛び級のメリットとデメリット」
2025.04.04Training -
なぜ日本のダート馬はこれほどまで強くなったのか? ドバイ決戦に挑む日本馬、世界戦連勝への勝算
2025.04.04Opinion -
いわきFCの新スタジアムは「ラボ」? スポーツで地域の価値創造を促す新たな仕組み
2025.04.03Technology -
専門家が語る「サッカーZ世代の育成方法」。育成の雄フライブルクが実践する若い世代への独自のアプローチ
2025.04.02Training -
海外で活躍する日本代表選手の食事事情。堂安律が専任シェフを雇う理由。長谷部誠が心掛けた「バランス力」とは?
2025.03.31Training -
「ドイツ最高峰の育成クラブ」が評価され続ける3つの理由。フライブルクの時代に即した取り組みの成果
2025.03.28Training -
アジア女子サッカーの覇者を懸けた戦い。浦和レッズレディースの激闘に見る女子ACLの課題と可能性
2025.03.26Opinion -
近代五種・才藤歩夢が挑む新種目。『SASUKE』で話題のオブスタクルの特殊性とは?
2025.03.24Career -
“くノ一”才藤歩夢が辿った異色のキャリア「近代五種をもっと多くの人に知ってもらいたい」
2025.03.21Career
RECOMMENDED
おすすめの記事
-
なぜ日本のダート馬はこれほどまで強くなったのか? ドバイ決戦に挑む日本馬、世界戦連勝への勝算
2025.04.04Opinion -
アジア女子サッカーの覇者を懸けた戦い。浦和レッズレディースの激闘に見る女子ACLの課題と可能性
2025.03.26Opinion -
なぜJ1湘南は高卒選手が活躍できるのか? 開幕4戦無敗。「入った時みんなひょろひょろ」だった若手躍動の理由
2025.03.07Opinion -
張本智和が世界を獲るための「最大の課題」。中国勢のミート打ちも乗り越える“新たな武器”が攻略のカギ
2025.03.04Opinion -
「あしざるFC」が日本のフットサル界に与えた気づき。絶対王者・名古屋との対戦で示した意地と意義
2025.03.03Opinion -
新生なでしこ「ニルス・ジャパン」が飾った最高の船出。世界王者に挑んだ“強者のサッカー”と4つの勝因
2025.03.03Opinion -
ファジアーノ岡山がJ1に刻んだ歴史的な初勝利。かつての「J1空白県」に巻き起ったフィーバーと新たな機運
2025.02.21Opinion -
町田ゼルビアの快進撃は終わったのか? 黒田剛監督が語る「手応え」と開幕戦で封印した“新スタイル”
2025.02.21Opinion -
ユルゲン・クロップが警鐘鳴らす「育成環境の変化」。今の時代の子供達に足りない“理想のサッカー環境”とは
2025.02.20Opinion -
プロに即戦力を続々輩出。「日本が世界一になるために」藤枝順心高校が重視する「奪う力」
2025.02.10Opinion -
張本美和が早期敗退の波乱。卓球大国・中国が放つ新たな難敵「異質ラバー×王道のハイブリッド」日本勢の勝ち筋は?
2025.02.10Opinion -
女子選手のACLケガ予防最前線。アプリで月経周期・コンディション管理も…高校年代の常勝軍団を支えるマネジメント
2025.02.07Opinion