[箱根駅伝・平均タイムランキング]本命・青学は5位、東海は19位。圧倒的な1位は…?
正月の風物詩である東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)の第97回大会がいよいよ近づいてきた。12月29日には区間エントリーも発表され各学校の戦略、注目選手、優勝予想など話題が尽きない。そこで今回はチームエントリーに提出された選手の10000m、5000mの公認最高記録を集計しランキングを作成した。記録上ではどのチームが1位となるのだろうか?
(文=REAL SPORTS編集部)
箱根駅伝を10000m、5000mで占う
今年は新型コロナウイルスの影響によりさまざまな大会が中止となるなど異例の1年となった。そんな中、史上初の“無観客”での開催となる箱根駅伝に向けて、各チームはできる限りの準備を進めてきた。今年の全日本大学駅伝で8区間中4区間で新記録が生まれ、“史上最速”とうたわれた前回大会の箱根駅伝を上回る高速レースも期待される。果たしてどんな結果となるのか、基準となる10000m、5000mの記録を基にランキングを作成し箱根駅伝の行方を占ってみたい。
ランキング作成にあたり集計方法は以下の通り。
・12月10日に関東学生陸上競技連盟が発表したチームエントリー、関東学生連合チームを含めた21チームを集計対象とする。1チームそれぞれ集計対象者はチームエントリーの際に提出された16人の公認最高記録を集計しチームの平均を算出する。
・公認最高記録は、チームエントリー発表があった12月10日より前の関東学生陸上競技連盟または各学校公表記録を使用する。
1位は16人全員が28分台!
10000mの公認最高記録のチーム平均順位をベースに上位3チームを見ていきたい。
まずは10000mの公認最高記録チーム平均記録1位となった明治大学は21チーム中、唯一16人すべての公認最高記録が28分台となっている。明治大学の勢いはこれだけではない。11月1日に行われた第52回全日本大学駅伝では“3強”と目される東海大学、青山学院大学、駒澤大学の一角を崩し3位となったことをはじめ、11月4日に行われた第8回早稲田大学競技会では全日本の控え選手、登録外の選手6人が5000mを13分台で走り選手層の厚さも証明された。また今回の箱根駅伝エントリー選手16人中12人も13分台となっており、今大会でも3強を脅かすチームともいえる。
————————————————————————————————-
4年 小袖英人 10000m:28分29秒88/5000m:13分46秒56
4年 大保海士 10000m:28分40秒92/5000m:14分22秒12
4年 長倉奨美 10000m:28分36秒54/5000m:13分50秒72
4年 樋口大介 10000m:28分53秒33/5000m:14分00秒41
4年 前田舜平 10000m:29分03秒35/5000m:13分57秒55
4年 村上純大 10000m:28分40秒61/5000m:13分55秒68
3年 金橋佳佑 10000m:28分56秒70/5000m:14分07秒59
3年 鈴木聖人 10000m:28分36秒16/5000m:13分56秒28
3年 手嶋杏丞 10000m:28分17秒58/5000m:13分55秒68
3年 丸山幸輝 10000m:28分58秒13/5000m:14分14秒94
2年 漆畑瑠人 10000m:28分53秒09/5000m:13分41秒87
2年 小澤大輝 10000m:28分38秒63/5000m:13分52秒22
2年 加藤大誠 10000m:29分08秒05/5000m:13分53秒24
2年 櫛田佳希 10000m:28分19秒77/5000m:13分56秒65
2年 富田峻平 10000m:28分35秒41/5000m:13分41秒74
1年 児玉真輝 10000m:28分22秒27/5000m:13分54秒84
平均 10000m:28分41秒90/5000m:13分56秒76
————————————————————————————————-
安定したパフォーマンスを発揮し自己新記録更新
次に2位となった早稲田大学は長距離部員数が30人ほどとほかのチームに比べると部員数は少ないが、多くの選手が10000m、5000mそれぞれで自己新記録を出している。その中でも注目は27分台の自己新記録を出した選手が2人もいることだ。その一人、中谷雄飛は全日本大学駅伝の3区では大学駅伝で初の区間賞を獲得したりと、安定したパフォーマンスを発揮している。もう一人、太田直希も好調で、7月に行われた第2回早稲田大学記録会では5000mで自己ベストを更新、全日本大学駅伝の4区では区間新記録を出している。
こちらも明治大学と同様に3強を脅かすチームになるだろう。
————————————————————————————————-
4年 宍倉健浩 10000m:28分16秒95/5000m:14分01秒43
4年 吉田匠 10000m:29分58秒90/5000m:14分07秒40
3年 太田直希 10000m:27分55秒59/5000m:13分56秒48
3年 千明龍之佑 10000m:29分00秒57/5000m:13分54秒18
3年 中谷雄飛 10000m:27分54秒06/5000m:13分39秒21
3年 半澤黎斗 10000m:29分04秒24/5000m:13分54秒57
3年 向井悠介 10000m:29分25秒34/5000m:14分18秒84
3年 室伏祐吾 10000m:29分04秒18/5000m:14分15秒75
3年 山口賢助 10000m:28分20秒40/5000m:14分01秒15
2年 井川龍人 10000m:28分12秒13/5000m:13分45秒30
2年 小指卓也 10000m:29分42秒82/5000m:13分41秒01
2年 鈴木創士 10000m:28分40秒24/5000m:14分06秒58
1年 北村光 10000m:29分00秒51/5000m:13分58秒64
1年 菖蒲敦司 10000m:28分58秒10/5000m:14分03秒15
1年 辻文哉 10000m:29分08秒11/5000m:13分49秒31
1年 諸冨湧 10000m:記録なし /5000m:14分07秒20
平均 10000m:28分50秒81/5000m:13分58秒76
————————————————————————————————-
全日本大学駅伝の勢いのまま優勝を狙う
3位には学生三大駅伝(箱根、出雲、全日本)通算22勝の最多優勝を誇る駒澤大学がランクイン。全日本大学駅伝で6年ぶりの優勝を飾り、22勝目の快挙となった。
昨年の全日本大学駅伝の7区、今年の全日本大学駅伝の8区で区間賞をとり、第104回日本陸上競技選手権大会で10000m 27分台を出したエース田澤廉を筆頭に、全日本大学駅伝1区で区間新記録を出した加藤淳(区間3位)や、4人抜きで5区の区間新記録を出した酒井亮太(区間2位)など、8人中6人が区間5位以内に入り、チーム全体として好調であることを示した。全日本大学駅伝での好調をそのままに虎視眈々と優勝の座を狙っている。
————————————————————————————————-
4年 伊東颯汰 10000m:28分34秒91/5000m:13分57秒20
4年 加藤淳 10000m:28分36秒59/5000m:13分43秒61
4年 神戸駿介 10000m:29分28秒02/5000m:13分55秒99
4年 小林歩 10000m:28分38秒75/5000m:13分43秒77
3年 石川拓慎 10000m:28分45秒94/5000m:13分59秒41
3年 佃康平 10000m:30分18秒54/5000m:14分14秒11
3年 花崎悠紀 10000m:29分25秒48/5000m:14分27秒05
2年 酒井亮太 10000m:28分53秒87/5000m:13分56秒67
2年 田澤廉 10000m:27分46秒09/5000m:13分37秒28
2年 円健介 10000m:29分30秒30/5000m:13分58秒33
2年 山野力 10000m:28分36秒18/5000m:13分55秒92
1年 青柿響 10000m:28分20秒42/5000m:13分47秒77
1年 唐澤拓海 10000m:29分36秒29/5000m:14分02秒87
1年 白鳥哲汰 10000m:28分14秒86/5000m:13分46秒78
1年 鈴木芽吹 10000m:28分23秒87/5000m:13分43秒07
1年 花尾恭輔 10000m:28分30秒48/5000m:13分54秒38
平均 10000m:28分51秒29/5000m:13分55秒26
————————————————————————————————-
混戦が予想される今大会で重要となるポイントは?
今回作成した10000mのランキングでは前回大会で総合優勝した青山学院大学は5位、総合2位の東海大学は19位であった。公認記録だけを見れば低い順位にも思えるが、決してそうではない。上記3チームと同様、青山学院大学も東海大学も自己記録を更新し続けている。また箱根はタイムだけで決まるものではなく、今大会も優勝候補の筆頭といえるだろう。
青山学院大学は2015年からの6大会で優勝5回を誇り、また前回の優勝メンバーが5人残っており、今大会も期待が高まる。東海大学も前回大会経験者が4人残っている。4年生の塩澤稀夕、名取燎太、西田壮志が中心となってチームを引っ張り王座奪還を狙う。
これまで以上の高速レースによる混戦が予想される今大会、果たしてどんな結果に終わるのか、今から楽しみだ。
<了>
————————————————————————————————-
大学別箱根駅伝エントリー選手 10000m平均記録
1.明治大学 28分41秒90
2.早稲田大学 28分50秒81
3.駒澤大学 28分51秒29
4.中央大学 28分51秒46
5.青山学院大学 28分53秒41
6.順天堂大学 29分01秒21
7.日本体育大学 29分10秒58
8.東京国際大学 29分15秒31
9.國學院大学 29分15秒56
10.関東学生連合 29分17秒37
11.神奈川大学 29分18秒38
12.拓殖大学 29分19秒88
13.東洋大学 29分23秒90
14.城西大学 29分24秒34
15.山梨学院大学 29分24秒48
16.創価大学 29分25秒23
17.国士舘大学 29分27秒97
18.帝京大学 29分32秒87
19.東海大学 29分36秒62
20.法政大学 29分42秒30
21.専修大学 29分54秒41
————————————————————————————————-
————————————————————————————————-
大学別箱根駅伝エントリー選手 5000m平均記録
1.駒澤大学 13分55秒26
2.明治大学 13分56秒76
3.青山学院大学 13分57秒11
4.早稲田大学 13分58秒76
5.東海大学 14分02秒97
6.中央大学 14分05秒61
7.東洋大学 14分06秒19
8.創価大学 14分09秒08
9.東京国際大学 14分11秒48
10.帝京大学 14分11秒65
11.順天堂大学 14分12秒28
12.國學院大学 14分15秒12
13.日本体育大学 14分16秒22
14.神奈川大学 14分19秒66
15.国士舘大学 14分21秒03
16.法政大学 14分21秒79
17.山梨学院大学 14分22秒96
18.関東学生連合 14分23秒13
19.城西大学 14分24秒12
20.専修大学 14分33秒88
21.拓殖大学 14分39秒14
————————————————————————————————-
箱根駅伝、台風の目は明治大だ!“高速化”の象徴、史上最速のレースへ注目選手は?
箱根駅伝、史上初“無観客”が選手に与える影響は? 山上り経験者が語ったリアルな心情
箱根3位・國學院大はなぜ飛躍した?前田監督「信頼築く」も「仲良しではない」指導信念
箱根3位・國學院大を熱く支える「日本発ブランド」SVOLME社長のこだわりと挑戦
箱根も席巻! なぜ「ピンク厚底シューズ」は好記録を連発するのか? 走りの専門家が解説するメカニズム
この記事をシェア
RANKING
ランキング
LATEST
最新の記事
-
大谷翔平のリーグMVP受賞は確実? 「史上初」「○年ぶり」金字塔多数の異次元のシーズンを振り返る
2024.11.21Opinion -
いじめを克服した三刀流サーファー・井上鷹「嫌だったけど、伝えて誰かの未来が開くなら」
2024.11.20Career -
2部降格、ケガでの出遅れ…それでも再び輝き始めた橋岡大樹。ルートン、日本代表で見せつける3−4−2−1への自信
2024.11.12Career -
J2最年長、GK本間幸司が水戸と歩んだ唯一無二のプロ人生。縁がなかったJ1への思い。伝え続けた歴史とクラブ愛
2024.11.08Career -
なぜ日本女子卓球の躍進が止まらないのか? 若き新星が続出する背景と、世界を揺るがした用具の仕様変更
2024.11.08Opinion -
海外での成功はそんなに甘くない。岡崎慎司がプロ目指す若者達に伝える処世術「トップレベルとの距離がわかってない」
2024.11.06Career -
なぜイングランド女子サッカーは観客が増えているのか? スタジアム、ファン、グルメ…フットボール熱の舞台裏
2024.11.05Business -
「レッズとブライトンが試合したらどっちが勝つ?とよく想像する」清家貴子が海外挑戦で驚いた最前線の環境と心の支え
2024.11.05Career -
WSL史上初のデビュー戦ハットトリック。清家貴子がブライトンで目指す即戦力「ゴールを取り続けたい」
2024.11.01Career -
女子サッカー過去最高額を牽引するWSL。長谷川、宮澤、山下、清家…市場価値高める日本人選手の現在地
2024.11.01Opinion -
日本女子テニス界のエース候補、石井さやかと齋藤咲良が繰り広げた激闘。「目指すのは富士山ではなくエベレスト」
2024.10.28Career -
新生ラグビー日本代表、見せつけられた世界標準との差。「もう一度レベルアップするしかない」
2024.10.28Opinion
RECOMMENDED
おすすめの記事
-
大谷翔平のリーグMVP受賞は確実? 「史上初」「○年ぶり」金字塔多数の異次元のシーズンを振り返る
2024.11.21Opinion -
なぜ日本女子卓球の躍進が止まらないのか? 若き新星が続出する背景と、世界を揺るがした用具の仕様変更
2024.11.08Opinion -
女子サッカー過去最高額を牽引するWSL。長谷川、宮澤、山下、清家…市場価値高める日本人選手の現在地
2024.11.01Opinion -
新生ラグビー日本代表、見せつけられた世界標準との差。「もう一度レベルアップするしかない」
2024.10.28Opinion -
大型移籍連発のラグビー・リーグワン。懸かる期待と抱える課題、現場が求める改革案とは?
2024.10.22Opinion -
日本卓球女子に見えてきた世界一の座。50年ぶりの中国撃破、張本美和が見せた「落ち着き」と「勝負強さ」
2024.10.15Opinion -
高知ユナイテッドSCは「Jなし県」を悲願の舞台に導けるか? 「サッカー不毛の地」高知県に起きた大きな変化
2024.10.04Opinion -
なぜ日本人は凱旋門賞を愛するのか? 日本調教馬シンエンペラーの挑戦、その可能性とドラマ性
2024.10.04Opinion -
デ・ゼルビが起こした革新と新規軸。ペップが「唯一のもの」と絶賛し、三笘薫を飛躍させた新時代のサッカースタイルを紐解く
2024.10.02Opinion -
男子バレー、パリ五輪・イタリア戦の真相。日本代表コーチ伊藤健士が語る激闘「もしも最後、石川が後衛にいれば」
2024.09.27Opinion -
なぜ躍進を続けてきた日本男子バレーはパリ五輪で苦しんだのか? 日本代表を10年間支えてきた代表コーチの証言
2024.09.27Opinion -
欧州サッカー「違いを生み出す選手」の定義とは? 最前線の分析に学ぶ“個の力”と、ボックス守備を破る選手の生み出し方
2024.09.27Opinion