[アスリート収入ランキング2021]首位はコロナ禍でたった1戦でも200億円超え! 社会的インパクトを残した日本人1位は?
5月25日、米スポーティコが、アスリート収入ランキング100を発表した。コロナ禍による無観客試合、相次ぐ興行中止であらゆる競技が影響を受けている中、アスリートたちの収入はどうなっているのか? 日本人選手の1位は、競技、スポーツの枠を越えて社会にも大きなインパクトを残したあの選手だった。
(文=大塚一樹[REAL SPORTS編集部]、写真=Getty Images)
コロナ禍で大幅減!……とはならず
アメリカの経済誌『フォーブス』が、毎年公開しているアスリート収入ランキングだが2021年版は、5月12日に10位までを紹介するトップ10が発表されただけで、100位までのランキングは掲出されていない。
一方5月25日、フォーブスで同企画を担当していた記者が、アメリカのスポーツメディア『スポーティコ』でアスリート収入ランキングベスト100を発表した。
この記事では、スポーティコのランキングに基づき、2021年度のアスリートの収入を見ていく。日本円は5月31日現在のレートで換算している。
あらゆるスポーツ団体、チーム、クラブは、興行収入の落ち込みで苦境に立たされている。しかし、アスリートの収入は相変わらず高水準を保っている。
2020年フォーブスのランキングで1位だったのは、テニスのロジャー・フェデラーで、1億630万ドルだった。ユニクロなど13社との契約で休場がちながら多く収入を得たフェデラーだが、今年のランキングでは8400万ドルで7位。
代わって首位に立ったのは、総合格闘家のコナー・マクレガーだった。2億800万ドル(約228億円)という桁外れの金額を稼いだマクレガーだが、集計期間の1年間で本業の総合格闘技を戦ったのは、1月24日のダスティン・ポイエー戦のみ。この試合では、2回2分32秒TKO負けしているが、ファイトマネーと有料放送の放映権報酬は推計2200万ドル(約23億円)。これも破格だが、残りの200億円以上は、マクレガーが手がけるウイスキーブランド『Proper No.12』を売却して得た収入だという。
結果として、収入合計は2億ドルを超え、2位のリオネル・メッシの1億2600万ドル(138億1700万円)に大きく差をつけた。
自身の契約問題で世界を騒がせたメッシも3位に入ったクリスティアーノ・ロナウド(1億2000万ドル/131億5900万円)も、昨年よりも収入を伸ばしている。コロナ禍においても、トップアスリートの市場価値は高く評価されたままだということが見てとれる。
NFL、NBA強し アメリカンフットボール、バスケットボールが収入維持
ランクインしたアスリートを競技別に見ると、アメリカンフットボールが32人で最多。続いてバスケットボール31人、サッカー16人、テニス6人、ゴルフ5人、野球4人となっている。
競技面での収入で毎年多くの選手を選出するアメリカンフットボールは、さすがの安定ぶりで多くの選手を送り込んだ。完全バブル方式を取り入れて2020シーズンの再開を果たしたNBA選手が占めるバスケットボールも、アメリカンフットボールと最多ランクインを争う常連だが、5位のレブロン・ジェームズを筆頭に、今年も多くの選手をランキングに送り込んだ。落ち込みが見られたのは、野球。コロナ禍では、試合が行えないことによるMLBのサラリー低下が早くから問題視されていたが、スケジュールが不透明な状況で、選手が動きづらい状況が続き、MLB全体でもお金が動くことが少なかったことが原因とみられる。
大坂なおみが「世界で最も稼ぐ女性アスリート」に
日本人では、テニスの大坂なおみが女子最高額、5520万ドル(約60億5200万円)全体の15位にランクインした。2020年の全米オープン、2021年の全豪オープンを制しており、名実ともにテニス女王として君臨している。大坂は、BLM(Black Lives Matter)に関する発信で大きな注目を集めたが、これによって多くのスポンサーが彼女に注目するかたちになり、今年1月にはルイ・ヴィトンのアンバサダーに就任するなど、世界中の女性アスリートの中で最も注目を集める選手になっている。
同じく日本人としては、テニスの錦織圭が2660万ドル(約29億1800万円円)で88位にランクイン。日本との関係性でいうと、Jリーグ・ヴィッセル神戸に所属するアンドレス・イニエスタが3900万ドル(約42億7800万円)で35位となっている。
ワクチンの普及によって、徐々に日常を取り戻しつつある世界のスポーツシーンだが、これ以上「異常事態」が続けば、チームの苦境、収入減に加え、世界的な企業の業績悪化によるスポンサー収入の減少が現実化してくる。
現在、現実問題としてオリンピックの開催が危ぶまれているが、「スポーツの価値」は引き続き経済面でも高水準を維持できるのか? 動向が注目される。
<了>
[アスリート収入ランキング2021]
1.コナー・マクレガー(総合格闘技)
2億800万ドル/約228億円
2. リオネル・メッシ(サッカー)
1億2600万ドル/約138億1700万円
3. クリスティアーノ・ロナウド(サッカー)
1億2000万ドル/約131億5900万円
4.ダック・プレスコット(アメリカンフットボール)
1億840万ドル/約118億8700万円
5. レブロン・ジェームズ(バスケットボール)
1億800万ドル/約110億8400万円
6. ネイマール(サッカー)
1億ドル/約109億6600万円
7. ロジャー・フェデラー(テニス)
8400万ドル/約92億1200万円
8. トム・ブレイディ(アメリカンフットボール)
8040万ドル/約88億1600万円
9.ケビン・デュラント(バスケットボール)
8010万ドル/約87億8300万円
10. ステフィン・カリー(バスケットボール)
7450万ドル/約81億6900万円
11. ルイス・ハミルトン(F1)
6400万ドル/約70億1800万円
12. サウル・“カネロ”・アルバレス(ボクシング)
6300万ドル/約69億800万円
13. タイガー・ウッズ(ゴルフ)
6220万ドル/約68億2000万円
14.ラッセル・ウェストブルック(バスケットボール)
6110万ドル/約66億9900万円
15.大坂なおみ(テニス)
5520万ドル/約60億5200万円
16.ジェームズ・ハーデン(バスケットボール)
5110万ドル/約56億300万円
17.ヤニス・アデトクンボ(バスケットボール)
4920万ドル/約53億9500万円
18.デビッド・バクティアリ(アメリカンフットボール)
4820万ドル/約52億8500万円
19.ロニー・スタンレー(アメリカンフットボール)
4720万ドル/約51億7600万円
20.パトリック・マホームズ(アメリカンフットボール)
4650万ドル/約50億9900万円
21.フィル・ミケルソン(ゴルフ)
4610万ドル/約50億5600万円
22.ジョーイ・ボサ(アメリカンフットボール)
4380万ドル/約48億300万円
23.クレイ・トンプソン(バスケットボール)
4330万ドル/約47億4800万円
24.カイリー・アービング(バスケットボール)
4320万ドル/約47億3700万円
25.トレント・ウイリアムス(アメリカンフットボール)
4290万ドル/約47億400万円
26.マイルズ・ギャレット(アメリカンフットボール)
4280万ドル/約46億9300万円
27.ジャレン・ラムジー(アメリカンフットボール)
4260万ドル/約46億7100万円
28.ガレス・ベイル(サッカー)
4190万ドル/約45億9500万円
29.ダスティン・ジョンソン(ゴルフ)
4080万ドル/約44億7400万円
30.アントワーヌ・グリーズマン(サッカー)
4060万ドル/約44億5200万円
31.デイミアン・リラード(バスケットボール)
4040万ドル/約44億3000万円
32.クリス・ポール(バスケットボール)
4020万ドル/約44億800万円
33.キリアン・エムバペ(サッカー)
4010万ドル/約43億9700万円
34.ディアンドレ・ホプキンス(アメリカンフットボール)
3950万ドル/約43億3200万円
35.アンドレス・イニエスタ(サッカー)
3900万ドル/約42億7800万円
36.レオナルド・ウイリアムズ(アメリカンフットボール)
3880万ドル/約42億5600万円
37.マーロン・ハンフリー(アメリカンフットボール)
3730万ドル/約40億9200万円
38.ポール・ジョージ(バスケットボール)
3700万ドル/約40億5900万円
39.アンソニー・デイビス(バスケットボール)
3660万ドル/約40億1500万円
39.フランシスコ・リンドーア(野球)
3660万ドル/約40億1500万円
41.クリス・ジョーズンズ(アメリカンフットボール)
3620万ドル/約39億7100万円
41.シャキール・バレット(アメリカンフットボール)
3620万ドル/約39億7100万円
43.モハメド・サラー(サッカー)
3610万ドル/約39億6100万円
44.セリーナ・ウィリアムズ(テニス)
3550万ドル/約38億9500万円
45.デショーン・ワトソン(アメリカンフットボール)
3540万ドル/約38億8400万円
46.マット・ジュドン(アメリカンフットボール)
3500万ドル/約38億4100万円
47.ジミー・バトラー(バスケットボール)
3480万ドル/約38億1900万円
48.J・J・ワット(アメリカンフットボール)
3450万ドル/約37億8600万円
48.ジョン・ウォール(バスケットボール)
3450万ドル/約37億8600万円
50.ポール・ポグバ(サッカー)
3440万ドル/約37億7500万円
51.カワイ・レナード(バスケットボール)
3360万ドル/約36億8700万円
52.ノバク・ジョコビッチ(テニス)
3340万ドル/約36億6500万円
53.エデン・アザール(サッカー)
3300万ドル/約36億2100万円
54.ローリー・マキロイ(ゴルフ)
3280万ドル/約35億9900万円
55.ベン・シモンズ(バスケットボール)
3260万ドル/約35億7700万円
56.バド・デュプリー(アメリカンフットボール)
3200万ドル/約35億1100万円
57.ジョー・トゥニー(アメリカンフットボール)
3190万ドル/約35億円
58.ロベルト・レヴァンドフスキー(サッカー)
3160万ドル/約34億6700万円
59. ヴィラット・コーリ(クリケット)
3150万ドル/34億5600万円
60.デビッド・ブッカー(バスケットボール)
3060万ドル/約33億5800万円
60.ケンバ・ウォーカー(バスケットボール)
3060万ドル/約33億5800万円
62.ブレイク・グリフィン(バスケットボール)
3000万ドル/約32億9100万円
63.タイラー・ロケット(アメリカンフットボール)
2980万ドル/約32億7000万円
64.ジョエル・エンビード (バスケットボール)
2970万ドル/約32億5900万円
65.ジョーダン・スピース(ゴルフ)
2960万ドル/約32億4800万円
66.ジョー・バロウ(アメリカンフットボール)
2900万ドル/約31億8300万円
66.カリル・マック(アメリカンフットボール)
2900万ドル/約31億8300万円
66.トビアス・ハリス(バスケットボール)
2900万ドル/約31億8300万円
69.ディアンジェロ・ラッセル(バスケットボール)
2890万ドル/約31億7100万円
70.マイク・コンリー (バスケットボール)
2870万ドル/約31億4900万円
71.キャメロン・ヘイワード(アメリカンフットボール)
2860万ドル/約31億3800万円
71.ディフォレスト・バックナー(アメリカンフットボール)
2860万ドル/約31億3800万円
73.ケヴィン・デ・ブライネ(サッカー)
2850万ドル/約31億2700万円
74.ダビド・デ・ヘア(サッカー)
2840万ドル/約31億1500万円
74.マイク・トラウト(野球)
2840万ドル/約31億1500万円
76.ザイオン・ウィリアムソン(バスケットボール)
2820万ドル/約30億9300万円
77.クリスタプス・ポルジンギス(バスケットボール)
2810万ドル/約30億8200万円
78.ラッセル・ウィルソン(アメリカンフットボール)
2800万ドル/約30億7100万円
79.セバスチャン・ベッテル(F1)
2800万ドル/約30億7100万円
80.ドノバン・スミス(アメリカンフットボール)
2780万ドル/約30億4900万円
81.ラヒーム・スターリング(サッカー)
2770万ドル/約30億3800万円
82.C・J・マッカラム(バスケットボール)
2750万ドル/約30億1700万円
83.アンヘル・ディ・マリア(サッカー)
2720万ドル/約29億8400万円
84.クリス・ミドルトン(バスケットボール)
2710万ドル/約29億7300万円
85.ケビン・ラブ(バスケットボール)
2700万ドル/約29億62000万円
86.ケニー・クラーク(アメリカンフットボール)
2690万ドル/約29億5100万円
87.スティーブン・ストラスバーグ
2670万ドル/約29億2900万円
88.カールアンソニー・タウンズ(バスケットボール)
2660万ドル/約29億1800万円
88.錦織 圭(テニス)
2660万ドル/約29億1800万円
88.トレダビアス・ホワイト(アメリカンフットボール)
2660万ドル/約29億1800万円
92.マシュー・スタッフォード(アメリカンフットボール)
2650万ドル/約29億700万円
92.ラファエル・ナダル(テニス)
2650万ドル/約29億700万円
94.テイラー・デッカー(アメリカンフットボール)
2640万ドル/約28億9600万円
95.マックス・フェルスタッペン(F1)
2630万ドル/約28億8400万円
96.デマー・デローザン(バスケットボール)
2620万ドル/約28億7300万円
96.フィリペ・コウチーニョ(サッカー)
2620万ドル/約28億7300万円
98.クレイトン・カーショー(野球)
2610万ドル/約28億6200万円
98.ラレミー・トゥンシル(アメリカンフットボール)
2610万ドル/約28億6200万円
100.カイル・ラウリー(バスケットボール)
2600万ドル/約28億5100万円
[アスリート収入ランキング2019]メッシがロナウド抑えて初の首位!日本人唯一のランクインは?
[アスリート収入ランキング2018]前年度トップは驚愕の319億円! 日本人は2人がランクイン!
[世界のチーム売上ランキング]“白い巨人”レアル・マドリードを抑えて1位になったのは?
[世界のリーグ売上ランキング]1兆円超え達成の2リーグはどこ? 日本と桁違いの売上額
[世界のチーム観客数ランキング]日本は6チームがランクイン! 1位は独ドルトムントを上回って…
この記事をシェア
RANKING
ランキング
LATEST
最新の記事
-
なぜ大谷翔平はDH専念でもMVP満票選出を果たせたのか? ハードヒット率、バレル率が示す「結果」と「クオリティ」
2024.11.22Opinion -
大谷翔平のリーグMVP受賞は確実? 「史上初」「○年ぶり」金字塔多数の異次元のシーズンを振り返る
2024.11.21Opinion -
いじめを克服した三刀流サーファー・井上鷹「嫌だったけど、伝えて誰かの未来が開くなら」
2024.11.20Career -
2部降格、ケガでの出遅れ…それでも再び輝き始めた橋岡大樹。ルートン、日本代表で見せつける3−4−2−1への自信
2024.11.12Career -
J2最年長、GK本間幸司が水戸と歩んだ唯一無二のプロ人生。縁がなかったJ1への思い。伝え続けた歴史とクラブ愛
2024.11.08Career -
なぜ日本女子卓球の躍進が止まらないのか? 若き新星が続出する背景と、世界を揺るがした用具の仕様変更
2024.11.08Opinion -
海外での成功はそんなに甘くない。岡崎慎司がプロ目指す若者達に伝える処世術「トップレベルとの距離がわかってない」
2024.11.06Career -
なぜイングランド女子サッカーは観客が増えているのか? スタジアム、ファン、グルメ…フットボール熱の舞台裏
2024.11.05Business -
「レッズとブライトンが試合したらどっちが勝つ?とよく想像する」清家貴子が海外挑戦で驚いた最前線の環境と心の支え
2024.11.05Career -
WSL史上初のデビュー戦ハットトリック。清家貴子がブライトンで目指す即戦力「ゴールを取り続けたい」
2024.11.01Career -
女子サッカー過去最高額を牽引するWSL。長谷川、宮澤、山下、清家…市場価値高める日本人選手の現在地
2024.11.01Opinion -
日本女子テニス界のエース候補、石井さやかと齋藤咲良が繰り広げた激闘。「目指すのは富士山ではなくエベレスト」
2024.10.28Career
RECOMMENDED
おすすめの記事
-
なぜイングランド女子サッカーは観客が増えているのか? スタジアム、ファン、グルメ…フットボール熱の舞台裏
2024.11.05Business -
アスリートを襲う破産の危機。横領問題で再燃した資金管理問題。「お金の勉強」で未来が変わる?
2024.10.18Business -
最大の不安は「引退後の仕事」。大学生になった金メダリスト髙木菜那がリスキリングで描く「まだ見えない」夢の先
2024.10.16Business -
浦和サポが呆気に取られてブーイングを忘れた伝説の企画「メーカブー誕生祭」。担当者が「間違っていた」と語った意外過ぎる理由
2024.09.04Business -
スポーツ界の課題と向き合い、世界一を目指すヴォレアス北海道。「試合会場でジャンクフードを食べるのは不健全」
2024.08.23Business -
バレーボール最速昇格成し遂げた“SVリーグの異端児”。旭川初のプロスポーツチーム・ヴォレアス北海道の挑戦
2024.08.22Business -
なぜ南米選手権、クラブW杯、北中米W杯がアメリカ開催となったのか? 現地専門家が語る米国の底力
2024.07.03Business -
ハワイがサッカー界の「ラストマーケット」? プロスポーツがない超人気観光地が秘める無限の可能性
2024.07.01Business -
「学校教育にとどまらない、無限の可能性を」スポーツ庁・室伏長官がオープンイノベーションを推進する理由
2024.03.25Business -
なぜDAZNは当時、次なる市場に日本を選んだのか? 当事者が語るJリーグの「DAZN元年」
2024.03.15Business -
Jリーグ開幕から20年を経て泥沼に陥った混迷時代。ビジネスマン村井満が必要とされた理由
2024.03.01Business -
歴代Jチェアマンを振り返ると浮かび上がる村井満の異端。「伏線めいた」川淵三郎との出会い
2024.03.01Business