14歳でFリーグ最年少記録、英2部QPRのトライアルでも3得点。日大藤沢・浅野蓮が語る欧州での手応え
日大藤沢高校でプレーする16歳のMF浅野蓮は、14歳でFリーグ最年少出場・最年少得点の両記録を更新した。育成年代を過ごしたmalvaサッカースクールでサッカーとフットサルの両方に取り組み、ドイツ1部シュトゥットガルトから招待を受けて現地の練習に参加。さらに、イングランド2部QPRからも正式な招待を受けてトライアルに参加し、実戦2試合で3得点1アシストを記録した。体格差や言葉の壁がある環境で武器になったのは、オフザボールの動きや裏へ抜け出すタイミング、そしてFリーグで培った相手の逆を取る力だった。欧州クラブで感じた手応えと、高校卒業後に描くキャリアについて聞いた。
(インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真提供=malvaサッカースクール)
「1対1から始まった、サッカーとフットサルの原点」
――浅野選手は現在、日大藤沢高校でMFとしてプレーしています。まず、ご自身の武器を教えてください。
浅野:オフザボールの立ち位置や裏への抜け出しが得意です。あとは、ドリブルと前からの守備も自分の武器だと思っています。
――サッカーを始めたきっかけと、malvaサッカースクールに入った理由を教えてください。
浅野:小学1年生の時に始めました。家族がサッカーをやっていて、兄も2人ともやっていたので、自分もやることになりました。malvaに入ったのは、練習を見ていて楽しそうだったからです。特に1対1のメニューが、自分も好きな練習なので楽しそうだなと思いました。
子どもの頃はサッカーとフットサルの両方をやっていましたが、コートが広く、自分にできるプレーの幅も広がる感覚があったのはサッカーのほうでした。
――お父様が指導者で、malvaの代表の浅野智久氏でもあることは、ご自身にどのような影響がありましたか。
浅野:わからないことがあった時に、すぐに相談できたのは大きかったです。プレッシャーは全然ありませんでした。父は自分のプレーを基本的には褒めてくれて、期待してくれていました。厳しい感じではなかったですけど、教えてほしいところはちゃんと教えてくれました。

14歳で挑んだFリーグの舞台
――14歳でFリーグ2部のマルバ水戸FCのトップチームに加わりました。Fリーグへの挑戦は、どのように決まったのでしょうか。
浅野:中学3年生の初めまでは埼玉のサッカーチームに所属していましたが、いろいろあって退団し、その時期にmalvaのジュニアユースに入り、その後、トップチームでフットサルを「やってみないか」と誘ってもらったんです。何を評価してもらったのかは自分では認識できていませんが、自分もやってみたかったので挑戦しました。小さい頃にもフットサルをやっていたので、久しぶりに戻った感じがして楽しかったですし、年上の選手たちがプレーするトップチームに加われることが、率直にうれしかったです。
――14歳で大人を相手にする中で、どのようなことを意識していましたか。フットサルへの適応も含めて教えてください。
浅野:まだ体が出来上がっていなかったので、その分、頭を使ってプレーしたいと思っていました。実際にやってみると、自分の得意とする、前を向いた時のドリブルやオフザボールの動きは通用しました。
フットサルのボールはサッカーボールに比べてあまり跳ねないので、トラップはしやすかったです。戦術は全然わからなかったので、周囲の選手やコーチに教えてもらいながら、試合の中で少しずつ覚えていきました。
――2024年6月2日のポルセイド浜田戦で、14歳6カ月10日のFリーグ最年少出場記録を更新しました。デビュー戦で特に印象に残ったことはありますか?
浅野:普段は全然緊張しないんですけど、その時は初のスタメンに選ばれたので緊張したのは印象に残っています。当たりの強さや判断の速さ、守備の強度も、それまでとは全然違うなと感じました。
最年少ゴールでつかんだ信頼と、Fリーグでの成長
――同年11月17日のデウソン神戸戦では、14歳11カ月25日で最年少得点を記録しました。ゴールの流れと、年上の選手の中でどのように信頼を得ようとしていたのかを教えてください。
浅野:前からの守備が得意なので、相手のフィクソがボールを持った場面で、相手コート中央でパスをインターセプトしました。味方に預けてからリターンをもらい、相手のキーパーからボールが見えないようにボールを左に運びながら右隅にシュートを決めました。自分から主張することが得意ではなかったので、その分、ボールをもらった時のプレーで「うまいな」と思ってもらえるように、自分にできる最大限のプレーをして信頼を得たいと思っていました。
――Fリーグでの1年間で身につけたことは、その後のサッカーや、欧州で練習参加した際のプレーにも生きていますか。
浅野:Fリーグは強度が高いので、体のぶつけ方を学びました。相手のほうが体が強いので、どうしたら逆を取って抜けるのか。そういうことを日々考えさせられる1年間でした。海外の選手も強度が高いので、頭を使って相手の逆を取ったり、うまく逃げたりするところは、フットサルで培ったものだと思います。
フットサルはコートが狭くて、相手との距離も近いです。サッカーはコートが広くなる分、時間やスペースにゆとりが感じられて、自分の得意なプレーを生かしやすいです。
――中学卒業後は日大藤沢高校に進み、サッカーに軸足を戻しました。その理由は何だったのですか?
浅野:将来の夢がヨーロッパでプロサッカー選手になることだったので、絶対にサッカーには戻りたくて、高校からはサッカーをやろうと思っていました。
海外へ行きたいと思うようになったのは、小学生の頃です。メッシ選手に憧れて、自分も小さい頃に何度かスペインやドイツへ遠征に行っていました。ヨーロッパのサッカーは強度が高くて楽しかったので、海外でプロサッカー選手になりたいと思うようになりました。
日大藤沢で磨く、「自分の意見を伝える力」
――高校進学では、日大藤沢を選びました。決め手は何だったのでしょうか。
浅野:自分のプレーがしやすいことと、監督が話をよく聞いてくれる方だったことです。先輩たちの雰囲気も良かったです。高校サッカーはボールを蹴るチームが多いと思うんですけど、日大藤沢は後ろからどんどんつなぐサッカーをしています。相手の間にもしっかりボールを入れてくれるので、中盤の自分にもボールが入ってきて、やりやすいと感じました。
それと、チーム内で自分の意見も積極的に言えたらいいなと思っていました。実際に、守備の時に「こうしてほしい」と思うことがあって、何度か監督に相談しています。そういうことをすぐに言いやすい環境があるのも、今の環境を選んだ理由です。
――今は、どのような目標を持って高校サッカーに取り組んでいますか。
浅野:自分のプレーを良くするために、先輩たちともコミュニケーションを取っていますし、「こういうところで、こうしてほしい」ということはまめに話し合っています。チームとしては、まず全国優勝を掲げてやっています。個人としても優勝は目指していますけど、勝ち負け以上に自分が成長することを大事にしていて、その中で結果も残していきたいです。
――シュトゥットガルトから練習参加の招待を受けたと知った時は、どう感じましたか。また、現地の練習にはどのような気持ちで臨みましたか。
浅野:練習参加できるという話は父から聞いたのですが、やっぱりうれしかったです。いつもそうですけど、参加した練習ではボールが入ってきたらドリブルで仕掛けたり、仲間を生かすスルーパスを出したりして、自分にできる最善を尽くしたいと思っていました。誰が見ても「こいつ、うまいな」と思ってもらえるような選手になりたいです。実際に練習へ参加した時も、「できない」と感じる場面はなくて、自分のプレーを出せたと思います。
――日本と海外で、指導者から見られるプレーのポイントに違いは感じましたか。
浅野:日本では、目に見える結果やボールを持っている時のプレーを見られることが多いと感じます。でも、海外ではポジショニングやオフザボールの動きも見てくれます。自分の得意なところを見てもらえるので、うれしかったですね。
――得意なオフザボールでは、どのような駆け引きをしているのでしょうか。
浅野:試合中は細かく考えるというより、感覚でポジションを取っています。相手の目線になって「ここにいたら見えないだろうな」と考えたり、センターバックとサイドバックのどちらが自分を見るのかわからなくさせるような位置に立ちます。その感覚は昔からあって、何かがきっかけで身についたという感じではないです。
言葉が通じないQPRで、結果から得た信頼
――クイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)から正式な招待を受けて参加したトライアルでは、実戦2試合で3得点1アシストを記録したそうですね。どのような準備をして臨んだのですか。
浅野:現地の選手たちと意思疎通を図る必要があると思い、行く前に英語を少しでも覚えようと思って勉強しました。でも、現地では全然使えませんでした。言葉が通じない分、結果で信頼を得たいと思って、自分にできるプレーは出せたと思います。3得点したことで信頼してもらえて、流れの中でパスも結構入ってくるようになりました。
――特に印象に残っているゴールの形を教えてください。
浅野:得意な裏抜けからボールを受けた場面です。左サイドでサイドバックの選手からパスを受けた時に、右後ろから相手のセンターバックが追いかけてきたので切り返して、右足でキーパーの股を抜いて決めたゴールが印象に残っています。
――裏抜けの場面では、どのような強みが通用したと思いますか?
浅野:自分は足の速さとタイミングの両方が強みだと思います。50メートルは6秒1で、タイミングも褒められることがあります。相手がみんなボールを見る瞬間があるので、その隙を逃さず、相手の背後に抜けられるタイミングを常にうかがっています。その時は、動き出したところにうまくボールが入ってきて、決めきれたので良かったです。
「世界一うまい選手」へ。高校卒業後に描く欧州挑戦
――今後、欧州でプレーするために、さらに伸ばしたいところを教えてください。
浅野:オフザボールをもっと磨きたいですし、高校で目に見える結果も残したいです。それ以外では、言葉を覚えて海外の選手ともコミュニケーションを取れるようになりたいです。まだ英語の基礎はできていないんですけど、毎日、友達と英会話をしながら勉強しています。
――憧れのメッシ選手には、どのようなところで近づきたいと思っていますか。
浅野:メッシ選手は、ドリブルもシュートも立ち位置も、すべてにおいて世界で一番うまい選手だと思います。サッカーの試合は普段はあまり見ないんですけど、ゴール前の動画はよく見るので、メッシ選手のそういうプレーをまねしつつ、同じように圧倒的なプレーができたらと思っています。メッシ選手を目指すのではなく、自分のオリジナルのプレーを磨いて、世界一うまい選手を目指したいです。
――最後に、高校卒業後に思い描いているキャリアを教えてください。
浅野:小さい頃から海外へ行きたくて、中学卒業か高校卒業くらいのタイミングで行きたいと思っていました。今は、高校を卒業したら海外へ行きたいです。ヨーロッパのどの国かはまだ決まっていないですが、向こうで結果を残して早くプロになって、お金も稼げる選手になりたいです。
<了>
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[PROFILE]
浅野蓮(あさの・れん)
2009年11月23日生まれ、神奈川県出身。日本大学藤沢高校サッカー部所属。ポジションはMF。小学1年生からmalvaサッカースクールでサッカーとフットサルに取り組む。中学時代は埼玉のサッカーチームでプレーし、3年生の時にmalvaのジュニアユースに加入。14歳でmalva水戸FCのトップチームに加わり、2024年6月2日のポルセイド浜田戦に14歳6カ月10日で出場し、Fリーグ最年少出場記録を更新した。同年11月17日のデウソン神戸戦では、14歳11カ月25日でFリーグ最年少得点を記録。中学卒業後、日本大学藤沢高等学校へ進学し、11人制サッカーに軸足を移した。ドイツ1部シュトゥットガルトから招待を受けて現地の練習に参加し、イングランド2部クイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)のトライアルでは、実戦2試合で3得点1アシストを記録。高校卒業後の欧州挑戦を視野に入れている。
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